特色印刷について

 先日、ある印刷サービスのFAQを見たところ、「特色印刷はCMYKに分解します」という記述があって、それって素直に「特色印刷は出来ません」って書いた方が良いんじゃないかなあと感じました。
 ちなみに特色印刷というのは、

特色(とくしょく)は、印刷においてプロセスカラーでは再現できない色を表現するために調合されたインクのこと。スポットカラーや特練色ともいう。

と言われており、蛍光カラーとかCMYKでは出ない色を使いたい時などによく使われますが、それ以外にも印刷に網点を出したくない時に使えるというメリットがあります。
 たとえば、墨25%を指定して灰色を作り印刷すると、黒インクを網点で表示されてぼやけてしまったり、CMYの複数色で淡い色を印刷すると、よく見るとシアン・マゼンタ・イエローの網点が見えたりします。
 残念な例になると、網点の具合が印刷によって異なり違うタイミングでつくった自分の名刺だけが、同僚の名刺と色が違うなんてことも起こります。
…業界の人相手に、デザインチームとしてそういう名刺を出すと不安を煽ることにもなったり。
 まあそんな問題を、インクの調合レシピが確立されているDICを利用して「欲しい色のインク」を作り、そのインク100%で塗りつぶすことで解決するってのが、特色印刷を利用する理由です。
 …という感覚で見ると、「特色印刷はCMYKに分解します」というのは、「そうして欲しくないから特色指定をしたんだけれど」となるんじゃないのかなあ?と感じたわけです。
 などというのは非常に基本的な話なのですが、完全データ入稿などが盛んになり、Illustratorの特色指定をただのカラーパレットみたいに使うなんて人が居たりすることを思うと、結果的に上記みたいな解説になるのでしょうか。