3月のライオン 9巻を読みました(ネタバレありかも)

 羽海野チカによるコミック「3月のライオン」の9巻を読みました。
 序盤は川本家と零のエピソードが中心で、いよいよ零とひなたが恋愛モードに入ってきたように感じます。
川本家を家族として愛している零が、その関係が無くなるかも知れず、そしてはかない「恋」を取るのだろうか?そして裏ヒロイン香子との関係はどうなるのか?というのが今後の見所になるかなあと思います。
 そういえば今更気づいたのですが、川本家が住んでいるのが、三月町でこれってやっぱりタイトルに関係するのかなあ。
 中盤からは、将棋界の話になりますが滑川 臨也や土橋 健司という面白いキャラが目立っていて好きでした。
3月のライオンでは一つの事を突き詰めたり没頭するというのがどういうことなのか?というのを多くの側面から描いていると思います。
 これまでも、将棋を突き詰めるあまり将棋以外のことで他人と分かり合えなくなったり、将棋を通して分かり合おうとしたのに相手が安易に勝負を諦めてしまい勝負には勝ったけど傷ついたり描いて来ましたが、この巻では、自分こそが将棋を一番突き詰めていたと思ったらその努力を一蹴するような他人の努力を垣間見て打ちのめされたり、棋士の家族の心配など様々なものがありました。
 個人的には、土橋の母親がこれ以上何を削って努力すれば良いのかと嘆く研鑽と努力を、土橋自身は面白くて夢中になっていただけで、宗谷はそれを一緒になって最高に楽しめる存在であると感じていたというのは、物凄く救われる話だなと思いました。
 作中でいちばん物を突き詰められない人間が、ひなたをいじめた高城めぐみやその母親である考えると、なんか深いなあと思いました。