恋愛物語のセオリー

 ぼくは恋愛小説とか恋物語が好きなのですが、その理由は突き詰めると恋とか愛が好きなのではなく、物語の核心が登場人物の気持ちという他人にも自分にも説明出来ないものである点です。
 恋愛は一方の立場で突き詰めるほどに自己解釈の世界に入っていくために、多くの恋愛物語では相手の気持ちは分からないものと割り切ります。比率でいうと少なくとも50%は分からないこととなってしまいます。
 さらに普段自分が隠している感情が愛憎によって予想外に露わになり自分自身のことも分からなくなる…なんてことも想定しだすと、大半が分からないまま終わってしまうのに、それに折り合いをつけないといけないといけなかったり、なんか幸せになってしまうのが恋愛物語の醍醐味であると思います。
 すべてが説明されないことには納得出来ないとか、自分の仮説こそが正しいのだという主張をした瞬間に破綻してしまうという点で恋愛物語はとても小気味良い娯楽だと思います。