アオイホノオ6巻が面白かったです

 漫画家島本和彦が自身の大学時代をモチーフにして描いたコミック「アオイホノオ」の6巻が面白かったです。
 この巻でも、あだち充、高橋留美子、大友克洋といった巨匠達の80年代初頭の作品について焔燃が根拠の無い上から目線の考察を語っているのですが、どうも彼の考察に現実逃避が目立ち、本人がそれに気づいているのが行間(コマ間?)で描かれている演出が好きでした。

 特に大友克洋に対して
「こんなしっかりした絵を勉強した漫画家になるつもりなんて―一切ないんです」
と批判して、
高橋留美子を
「タイミングだけで描いて!個性が認められて!一発描きでいけそうな感じの!!そんな漫画家を目指しているんですよ!!」
と絶賛する自分にも出来そうなものを安易に支持することで、自分自身がクリエイターであることを諦めないようにする心理描写は、気づいていてもなかなかできるものではないなと思いました。(実際、高橋留美子先生の作品がそうだとはぼくは思わないのですが)

 …ちなみにこの心理って現代の漫画ファンにも当てはまっていて、コアな漫画ファンに「どこか自分でも描けそうな脇の甘い(ように一見みえる)作品」が妙な支持のされ方をしているのはこれだったのか?!と思いました。