コミック「屍鬼」が面白かったです(ネタバレあり)

 小野不由美作の小説を原作とした藤崎竜のコミック「屍鬼」が面白かったです。
先に終了したアニメ版とほぼ同じ内容でしたが、細かな点で違いがありアニメ版以上に屍鬼達に感情移入できる物語であったと思いました。

以下、ネタバレありで書いてます


 アニメ版と比較すると、正志郎と佳枝がヒロイックに描かれていたり、文楽人形で腹話術をする松尾静が人間的に描かれていたりと、キャラクターを掘り下げた部分があったのには、救われるものを感じました。
一方で武藤徹と国広律子の描写はそのままの素っ気ないもので、結城夏野の最後もアニメよりも淡々としていました。
 この演出がぼくには非常にツボで、屍鬼や人狼という人間と敵対する存在になった際に、人間の溜に命を捨てる姿よりも、人と争ってでも生きていこうとする姿を美しく描いているのが最高でした。

 また終盤、大川富雄の多数派の正義を真実として少数派に押しつける部分では、人間である彼が屍鬼以上の怪物のように描かれていてこちらも好きでした。