万能鑑定士Qの最終巻を読みました(ネタバレあるかも)


万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉

 松岡圭祐による小説「万能鑑定士Qの最終巻」を読みました。
 「万能鑑定士Qの謎解き」が続編を匂わせつつの完結と勝手に想像していて、その後、松岡圭祐の別作品「探偵の探偵」が始まり「探偵の鑑定」というクロスオーバーストーリーまで出たので、一段落したのかなとすっかり忘れていたところ今年の8月に最終巻が出ていてあわてて読みました。

 物語の時系列は「探偵の鑑定 II」の後っぽく、「万能鑑定士Qの謎解き」の次にこの作品を読むとかなり物語が飛んでしまいましたが、冒頭の解説でまあなんとか合流出来る…スターウォーズの冒頭みたいなノリです。
 メインは「ムンクの叫び」を修復するために犯人から出される謎に振り回されつつも凜田 莉子が奮戦するという物語で、凛々しい一面と情けなくも可愛らしい一面が存分に描かれていて大満足でした。
 トリックや犯人の動機も納得出来るもので「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」は健在でした。
この巻を読んでちょっと思い出したのが、ちょうど小保方晴子が話題になっていたころにある研究者の方に聞いた「現代くらいに専門化とスピード化が進むと、技術の真偽を見抜くのは不可能」という言葉でした。…ってネタバレかもこれ。

 またクロスオーバー作品も含んで主立った登場人物も少しずつ登場しており、最終巻に最も期待する打ち上げ感もあり、そして最大の敵コピアとの対決もあり、絶対くっつくと思ってたら知らないうちに別れてしまっていた小笠原 悠斗と莉子のティーンエイジャーみたいな不器用な関係の結末も描かれていて、長年のファンには嬉しかったです。