サピエンス全史が面白いです

 ユヴァル・ノア・ハラリによる書籍サピエンス全史が面白いです。
 内容はかなり王道ですが、その言い回しや取り上げている例などが多くの読み手の共感を得られるために配慮されている点がこれまでの書籍と比べて素晴らしいかなと思いました。
 そしてこの配慮が成功して共感しているという体感が読者の著者に対する信頼を産んでおり、これぞ実用書の鑑だと感じさせられます。

 専門的な実用書では分かる人に分かれば良いというスタンスのものも多いのですが、サピエンス全史はその内容からより多くの人に共感されるというのがとても重要です。
 例えば、第2章「虚構が協力を可能にした」とか第8章「想像上のヒエラルキーと差別」などでは、人間が多くの集団が同意する虚構の影響下にあると書かれています。
それ自体は色々な学問によって語られていて、よく知っているという人も多いでしょうが、それを証明するためには実際の社会にその持論(虚構)が影響を与えていなければならないと思います。
 サピエンス全史ではそれらが分かりやすい例を交えて説得力ある言葉で書かれており…それこそ、自分が共感できるだけでなく、例えば居酒屋で一緒に呑む相手にちらっと言ったら共感してくれるかもという感覚が、集団が同意する虚構という存在に説得力を付けているように思います。

 そして、売上や評判などからサピエンス全史自体は集団が同意する説(虚構)を見事に作り出すことに成功しているなと感じさせられました。

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