ちーちゃんはちょっと足りないがとても面白いです

 阿部共実による漫画「ちーちゃんはちょっと足りない」がとても面白いです。
 主人公は中学2年生の女子ということで中学生独特のモヤモヤした気持が踏み込んで描かれており、未だに過去に対して色々思うことのあるぼくはガッツリ感動させられて、救いになる発見や学びがあると感じました。

 全体としては可愛い絵柄の中学生キャラクターがある事件をきっかけに成長するという心温まるとても読みやすい作品なのですが、小林 ナツの様々な心情描写などは、文学小説のようにストレートで身に覚えのある恥ずかしさに踏み込み、作画もインパクトのある抽象的表現で、成長の影の部分も描いていると感じました。
 突き放した言い訳の出来ない描写は読んでいてモヤモヤしますが、成長したくても一歩踏み出せない若者に丁寧に寄り添い代弁しているという優しさも感じて素晴らしいです。

 親(まだ二歳児の親までしか経験してないけれど)という立場からは、千恵(ちーちゃん)の姉や旭といった彼女を見守る存在の描写は、ぎょっとするものがありました。
自分が彼女達の立場だったらどうしようかと胃がキリキリします(笑
 それと同時に、千恵の姉の立場を想像すると、思惑はどうであったとしても、そんなのどうでも良いくらいに、千恵のために行動してくれたナツへの承認や感謝があって、それが一周回って自分の中にあるナツのような嫌な部分を少し許せたような気持ちになりました。
…これって本当に凄い事だと思うんだよなあ。

 深読みかもしれない(というか思いたい)のですが、千恵の足が小さすぎて同世代用サイズの靴があわないというシーンに物凄く不吉なものを感じてしまいます。
千恵が漫画作品のテンプレート的な幼くお馬鹿で小柄な可愛い子ではなく、肉体的にも同世代の子達と一緒に過ごすのが難しいと判断されるギリギリの成長速度にあると思うと、成長という言葉の残酷さや不安を覚えてしまいます。
 ただこの不安を少しでも片隅におくと、千恵の成長エピソードの数々に泣けます。

…という様々な視点からの楽しみ方ができる、「ちーちゃんはちょっと足りない」超おすすめです。