ルパン三世 グッバイ・パートナーが面白かったです

 金曜ロードSHOW!でオンエアされたルパン三世 グッバイ・パートナーが凄く面白かったです。
長年の相棒次元大介の裏切りなど見所は多いのですが、個人的に気に入ったのはロイ・フォレストが典型的な今どきの世界規模の黒幕を表現しているところです。
 莫大な資金を持っていて、メディアも自在にコントロールできて、アメリカ大統領よりもある意味強い権限を持っていたり、世界規模の組織にも顔が利き、世界を牛耳ろうとしているって辺りトレンドだなあと。
つか、作中に出てくる大統領がドナルド・トランプさんでなく、あえてヒラリー・クリントンさんにしていて、彼女がロイに良いように使われてしまっているあたり、良い角度で突っ込んでいるなあと思います。

 最終的にシンギュラリティを起こした量子コンピュータで動くAIエミルカと、クラシック音楽という歴史ある文化や芸術を通して対話を行うというのも、すごく今どきなアイデアと感じました。
 ダメ押しが不二子の、データなお金よりも目の前にある時計の方が魅力的でそれを手に入れて幸せと語るシーンで、文化芸術をがっつり押してきたなと。
…アレがお金じゃないみたいな言葉ではなく、お金に換金しても莫大な価値のある腕時計を例に出し、お金よりも芸術品の方がより高く複雑で魅力的な認知情報を持っている主張のようで小気味良かったです。

 また、エミルカは行方不明として物語は終わりますが、人間に化けてアリサのコンクールでピアノを聞いている…ように見えるシーンがあります。
 不憫なエミルカへのサービスカットとも感じるのですが、人よりも進んだ存在であるエミルカも、人間や文化芸術に興味を持ち人に化けて勉強中と思うと、なんとも教訓めいたものも感じます。

 などと深読み(邪推?)がたくさん出来るのですが、敵役や物語を彩る流行りのキーワードを入れ込んだとだけ見た方がスカッと楽しめるし、何よりも最大の見所は次元大介に関わる部分であると思います。
ということで、超おすすめです。

金曜ロードシネマクラブ