七つの魔剣が支配する8巻が面白かったです(ネタバレあるかも)

宇野 朴人によるライトノベル、七つの魔剣が支配するを読みましたが面白かったです。

七つの魔剣が支配するVIII (電撃文庫)

リヴァーモアが主役

今回の主役はまさかのリヴァーモア、ヒロインはこの巻から登場するファウでした。
リヴァーモアは初期から悪役として登場し、最も魔法の研究に暴走する…作中で言う魔に呑まれそうなキャラクターだったので、ファウと語らう彼のあり方が意外で驚きながら読み進められました。
ファウのようなキャラクターによる会話劇はライトノベル一番の楽しみなんだろうなあ。
これまで多くの悲劇を落とし前をつけるように描いてきた作品だったので、どんな結末もあり得ると読み進めていましたが、ファウへの親しみが増すほどに、冷や冷やしました。

ファウが魅力的

ファウは人間性もとても魅力的ですが、彼女が古代から引き継いでいる死霊術への興味が引き立てられます。
人間性より技術(スペック)に強く感心がいくキンバリー魔法学校のノリを自覚して、上手くのせられたような、引き出されたような気持ちになったと思ったら、純粋にリヴァーモアとファウの長年の悲願をどうにか叶えさせてやってほしいみたいな気持ちになったり、楽しく振り回してもらえました。
リヴァーモアも主役として人間臭さ青臭さを露わに泥臭く活躍しとても魅力的でした。

魔法インフレの行きつく先

この作品には次々と猛者が登場する、インフレ魔法バトルに魅力を感じていますが、今回はバトルよりも、古代の死霊術の社会に与えた影響の大きさと、その暴走の恐ろしさが魅力だったと思います。
死霊術、他作品ではネクロマンサーなどとされる魔法が、ここまで分かりやすく強力なものとして描かれているのは、珍しいと感じました。
ある魔法(技術)が進化していき、現代の社会インフラを支える技術のように大規模に活用された際に、人間の価値観や倫理観や社会システムがどういうものになるのかが、行きついた先の破滅も含め緻密に描かれているのは、この作品の魅力だと改めて思いました。