ダンジョン飯11巻面白いです(ネタバレあるかも)

九井諒子による漫画「ダンジョン飯」11巻が面白かったです。

ダンジョン飯 11巻 (HARTA COMIX)

迷宮の主となる者は?「ダンジョン飯」物語がクライマックスに向かう11巻

好きな点

ゲームファンタジー世界をモチーフにした作品として楽しんでおり、物語としての完成度よりも、むしろ物語の腰を折るそれでいてゲームでは起こりそうなトラブルの描写と、それをギャグとして取り込む演出が好きです。
設定の量も莫大で一つの物語を語るというより、プレイヤーが自由に行動でき、とんでもない行動にも対応が準備されているゲーム…特にテーブルトークRPGの設定にとてもよく似ており、それが大きな魅力の一つだと思います。

この巻でも、主人公達の絶対絶命の危機には、逆に敵役である狂乱の魔術師シスルが悪手を打ち、そこから次々とトラブルが起こり、やはりそれが滑稽で可愛いギャグ描写になっており面白かったです。
直前まで恐ろしく描かれていたドラゴン達が、シスル視点なのか、やたらと可愛い仕草や表情をして、それらが現実のペットや動物達が見せるものにやたら似ていて、不思議なリアリティに笑ってしまいました。

エルフによる迷宮調査隊カナリア隊の活躍を期待していましたが、手練れの彼らも翼獅子とマルシルが呼び出したファンシーなモンスター?によって、あっさり壊滅してしまいます。
それでも、残った狼男のリシオンのリアクションは慣れたもので、彼らもまた日頃から多くのトラブルにあっている様子がうかがえました。

さらに、これまで、コミュ力を発揮しまくっていたカブルーもライオスとの会話で、読者として読んでいても焦るくらいに、立ち居振る舞いに悩んでいたりと、テーブルトークRPGで例えると、全てのキャラクターの出目が絶望的にダメだった巻と感じました。

そんな登場人物達の失敗やトラブルを繰り返し読む内に、失敗やトラブルに対する心構えが出来た…というと大げさですが、トラブルはつきもので敵の失敗には助けられたりもするし、起こるものだよねと、図太くなれると感じました。
英雄譚は格好良く見せるために下手なケアレスミスは描けないため、こういう学びはゲームやゲームファンタジーモチーフ作品最大の魅力であると感じました。

この後はいよいよ翼獅子との駆け引きが始まりそうで、気持はそちらに先走りますが、この巻でも様々な設定が沢山ちりばめられており、そちらをじっくり楽しみたいと思っています。

ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブルもお勧め

10巻の発売と同時に発売された、ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル (HARTA COMIX)も、この巻と合わせて読むと面白いです。特にカナリア隊は一度に大勢で登場したのに、全員がやたらとキャラクターが濃いので、ワールドガイドでキャラクターを知るとさらに楽しめます。
他にも、本編では物語の都合上描かれそうにない設定なども多くお勧めです。

ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル (HARTA COMIX)

スクラップは後日

読み終わった勢いで好きだった点を、わっと書きましたが、他の人の色々な感想や考察も気になるので、改めてスクラップを作り、作品世界に浸りたいです。