サブカル作品における劣等に対する配慮

 サブカル作品において、劣等に対する配慮は重要だなと思います。
 強いヒーローを描いた作品など、人間の強い部分が強調されると、「自分もあんな風になりたい」と思うよりも「いやいやそんなの無理」と引いてしまう場合が多く、観る人間が強く感情移入するキャラクターに対して共感出来る弱さや、劣等を個性とする描写が目立つなと思います。
もちろん、そのキャラクターが大きな成果を出す優秀さも持っていて、劣等に共感してからの活躍に昂ぶることが出来ます。
 今期のアニメで言うと、劣等部分に共感しやすいのがメカクシティアクターズシンタローで、「他人の視線に怯える引きこもりの18歳」だけど「IQは168」というものだったり、ある種の個性が一部の価値観で一時的に劣等として描かれるのがシドニアの騎士「谷風長道」、ブレイクブレイド「ライガット」かなと思います。
 そんな中異様なのが、タイトルにも劣等という言葉が含まれている、魔法科高校の劣等生「司波達也」です。
 魔法科高校という画一的な評価がされる組織のルールに馴染まないが実は才能がある…という手法をとっているようなのですが、彼が劣等生と扱われるのは常に一瞬ですぐに圧倒的な結果を出し周りの人間の注目を集めます。
さらに、魔法科高校以外の分野においては非常に分かりやすい優等生です。
 このキャラクターに対してどん引きしない理由は、「学校は何も分かってない」とか「何も分かってない学校に従う奴はバカ」みたいな演出が大きいと思います。
 加えて、「魔法」ってものの扱いが複雑で、一般的には単純によく分からないを演出するという典型的なものや、現実世界とは異なるルールや格付けを演出するなどに使われる魔法が、魔法科高校の劣等生に関しては既に何かしらの固定ルールや格付けが存在しており、そこからさらに異なるルールや格付けを描くため「よりなんか分からないもの」を出しているのかなと思いました。
 そしてこれは「今時描かれる魔法は何も分かってない」とか「何も分かっていない魔法のルールに従う奴はバカ」みたいな今時のサブカル作品への反発もあるのかなあ等と深読みしています。