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松岡圭祐によるライトノベル万能鑑定士Qの事件簿の個別感想ということで…V~VIIが面白かったです。
Vは凛田莉子がパリ旅行で巻き込まれた事件を描いています。
莉子の学生時代の劣等生っぷりを知る恩師・喜屋武先生の登場や、天然キャラな部分を描いていて、それまでなんだかんだ言って格好良く決めていた莉子の可愛い一面が引き立ちます。
雑学を面白おかしく教えてくれるこの作品と、旅行の描写はとても相性が良く、また事件はフランスの一流レストランとフォアグラ生産者を描いた物で、なんかちょっと賢くなった気分になれました。
VIは万能贋作者こと雨森華蓮が登場します。
万能贋作者と言っても詐欺を成功させるまでの一定期間、誰にも偽物と見抜けない作品を作るというスタンスが面白かったです。
莉子の地道な状況調査と論理的思考法が、華蓮が詐欺を成功させて逃げ切るまでに間に合うのか?というのがこの作品の魅力だったと思います。
贋作者の話題で莉子が、スーパージャンプに掲載されていた「ゼロ THE MAN OF THE CREATION」を愛読していて「ゼロかっこいい。だいすき。」と言っているのは笑えましたが、こんな感じに実在の企業名や作品名などがそのまま使われているのが意外と珍しく、またリアリティを損なわない要素の一つかなと思いました。
VIIは莉子が有名ファッション誌のカリスマ女編集長に接近するエピソードです。
作中で莉子が皮肉るほど、「プラダを着た悪魔」に似たシチュエーションが多いのですが、それらを莉子の知恵と機転で次々解決していくのは面白かったです。
スマホのカメラを通すと、赤外線のリモコンが光るのが見えるとか、エアコンのリモコンのスマホアプリがあるとか…知恵が付きました(笑
ぼくはこのエピソードあたりから、このシリーズは探偵が殺人犯を追い詰めるミステリーではなく一般人が詐欺師を追い詰めるミステリーというスタイルに馴染めてきました。