アニメ「琴浦さん」を観て思ったこと

大隈孝晴,えのきづ,あおしまたかし
フライングドッグ

¥ 5,393

(2013-04-03)

 えのきづによるウェブ漫画原作のアニメ「琴浦さん」を観ていて、いろいろ今時を読んでいる作品だなあと思いました。
 人の心が読める少女・琴浦春香と、春香のクラスメート・真鍋義久、そしてそれを取り巻く仲間達との日常を描いた作品で、物語序盤は琴浦春香が人の心が読めることで不幸になるも真鍋義久の出会いによって救われていくという展開で始まります。
個人的にこの展開は、ただ妄想するだけで、可愛くて可愛そうな女の子を助けるヒーローになれるという、真鍋義久にとって非常に都合の良いもので、努力せずに成果を得ることにあこがれたり、主人公の努力描写で離れてしまう視聴者を逃がさない演出だなと思いました。
 そしてヒロインの琴浦春香は、(今のところ)人の心が読めること自体ではなく、読んだ相手の心を空気を読まずにしゃべってしまうことで起こるトラブルに巻き込まれることが大半で、そもそもが勘のいい人なら見ているだけで察することが出来るけどあえて伏せているようなことばかり読み取ってしゃべってしまいます。
そう考えると琴浦春香の超能力は、空気が読めずに相手を傷つけてしまう人間にとって「だって心が読めちゃうんだもん」という言い訳に最適だったりします。
 という具合に、視聴者にとって非常に安心して見られる演出が各所になされていて、この作品はものすごく人の願望を理解しているなあと思いました。