妖怪アパートの幽雅な日常3~5巻を読みました

 香月日輪によるライトノベル作品、妖怪アパートの幽雅な日常3~5巻を読みました。
 1、2巻を読んでいた時に想像していた今後の展開は、妖怪アパートなどに象徴されるファンタジー色が強くなりそちらへの冒険が深まるというものだったのですが、まったく違う展開で驚きました。
 むしろ妖怪アパートなどファンタジーな世界は癒やしと自己鍛錬の場であり、物語における冒険は人間社会における精神的には病んでいたり歪でたりするけれど、いわゆる普通の人間との人間関係というのは凄く面白いと感じました。

 そう考えると妙に無造作に霊能力者とか霊力という言葉が飛び交っていたのも、そこは、そういうモノが一般的な世界を描いているのではなく、その辺は適当に流しておいてという意図だったのだなと納得しました。

 自分の思い込みで物事を勝手に決めつけて殻に閉じこもった人間の、歪さであったり奇妙さを客観的に心理学的に描いていますが、その殻を自ら破る人間の成長を描く事を目的としているのではなく、むしろ人間って不思議だよなあと、妖怪を観るように、理想の形になることを押しつけたり、厳密な分類をしない描写はとても面白いと思いました。