ビア・ボーイが面白かったです

 吉村喜彦による小説「ビア・ボーイ」が面白かったです。
大手酒造メーカーでビールの営業をする若手サラリーマンの成長記です。
主人公が、元広告部で酒乱の気があるってことで、ものすごく共感させられる作品でした。…特に呑みすぎての失態などは、いやあ身につまされます。
また、舞台が広島ということで、テンポの良い広島弁での会話は読んでいてとても気持が良かったです。
 PHP文芸文庫ということで、お堅いビジネス書的な描写が多いのかと思ったら、破天荒で勘違いしがちな主人公が語り部ということで、物語的にもとても面白かったです。
 という具合に作品としては凄く好きなのですが、個人の酒飲みとしては主人公が務める酒造メーカーのモデルがサントリーで、しかも扱っているのがビールというのが気に入りません。
 ぶっちゃけぼくはサントリーのビールの味があまり好きじゃないのです。
実際、この物語でもビールとしての美味さについての描写は希薄であったと感じます。
…酒の美味さをレシピの丁寧さなど理屈で語りそれを宣材にするという、サントリーの酒と酒飲みの歩み寄れなさがここでも払拭出来てないと感じました。