映画評論って凄いと思いました

 TBSラジオで毎週土曜日21時30分~24時30分まで放送しているラジオ番組ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルのコーナー、ザ・シネマハスラーの「ハートロッカー」の回と、それを受けて映画評論家の町山智浩さんが電話出演された配信限定!放課後DA★話特別編をポッドキャストで聴いたのですが非常に面白かったです。映画ハート・ロッカーに対する解釈について2人が非常に熱く語っているのですが、まあその内容については実際に聴いて頂ければと思います。
 ぼくが凄いと思ったのは、宇多丸さんが「本当はこう描きたかったのは分かるんだけどこう誤解しちゃうよね」という体で語っていたのに対して町山さんは「評論家は劇中で描かれる制作者の意図は全てくみ取れる視聴者であり、くみ取った意図を分かりやすく一般視聴者に伝えるべき」というスタンスでした。
そのスタンスから語られる町山さんの評論は映画評論家という仕事の素晴らしさと奥の深さを圧倒的に表現していたと思います。
 そしてぼくがさらに素晴らしいと感じたのは、宇多丸さんが「こう誤解しちゃうよね」と言った言葉は実は彼の意見であったり根本的な解釈であるという点を、町山さんが指摘していたところでした。
 宇多丸さんはリスナーからの手紙で制作者の意図を知っていたにも関わらず、「ぼくは答えを知っている。けど誤解してもしようがないじゃない。」と彼なりの解釈を語りますが、その論法は「ぼくはそう思いたいんだ」という本心を隠しながらも強烈な正当化ができます。
そんな宇多丸さんに対して町山さんは「ぼくの人生観なら制作者の意図に共感するよ」と自分の正当性を手放した捨て身の立場で別の可能性を伝えるという手段を取りました。
 このやりとりはぼくにとって感動的で、意図をくみ取るためには惜しみなく知識を使いながら、ここ一番には理論武装全てを手放し裸で飛び出すような町山さんの懐の深さは人間的に素晴らしいと思いました。
ザ・シネマハスラー「ハート・ロッカー」
「放課後DA★話特別編【part1】」
「放課後DA★話特別編【part2】」
「放課後DA★話特別編【part3】」