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5pb.とニトロプラスのコラボレーション企画ゲームSteins;Gateが面白かったです。
紙芝居方式のテキストアドベンチャーで、自動的に進んでいく物語にゲーム内の携帯電話を操作することで変化を起こしていくというシステム(フォーントリガーというそうな)です。
物語は、タイムトラベルとそれによって起こるバタフライ効果に巻き込まれる人間ドラマという印象でした。
実際にプレイしてみて「非の打ち所がない」作品だなと感じました。
賢くなったような気分にさせてくれるSF考察に、丁寧な謎の見せ方、物語に引っ張り込んでくれる魅力的なキャラクター達、物語を象徴するBGM、キャストの熱演、そしてそれを見事にまとめた演出によって名作という位置に落ち着けたなと思いました。
携帯の操作というごく限られた部分以外は操作らしい操作はできず、また携帯操作もあまり意味があるようには見えず、操作しなくて進行してしまうけど実は影響していて大きな違いになるという演出は、バタフライ効果を体感しているような気分にしてくれてとても面白かったです。
以下、ネタバレで書いていきます。
危険であることを承知していてもタイムリープを使わざるをえない状況もまゆりや紅莉栖の死を回避するという説得力と切なさのあるものでとても面白かったです。
特にまゆりとオカリンの関係は非常に深く誰も入り込めないような迫力があると感じました。
そしてその死を回避するために一緒に無かったことにするのが…鈴羽の父親と会うこと、フェイリスの父親を生き返らせること、ルカ子の女性になり好きな人へ告白するという、彼女達が自分の死となら引き替えにしてでも手に入れたかったものだろうなあと考えると切ない気持ちになります。
…まあ、そういう罪悪感を乗り越えて行くというのがプレイヤーにとっての一番の醍醐味であったのかなと思いましたが。
個人的にちょっと引っかかったのは、冒頭の描写でβ世界に戻ったら紅莉栖は死ぬけれど、おそらくそれは回避出来るであろうと気づいてしまったことです。
その結果、早くβ世界に帰ってそっちの紅莉栖を助けたいと感じてα世界の紅莉栖にパラレルワールドの住人という印象を持ってしまい感情移入がし切れませんでした。…まあそう思ってプレイしたからこそβ世界の紅莉栖がαの事を少なからず覚えていた時には嬉しいと言うよりも罪悪感を感じてしまい、もしもそれが計算されたものだったら凄いなとは思いましたが。
全体的に、もっとキャラクター重視ないわゆるキャラゲーにすることは出来ただろうにあえてそこまで踏み込まずに想定科学ADVというテーマにあった完成度を守るためにぐっと押さえた感じがこの作品の名作感強く出しているなと感じました。