感情移入について思う事

 フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で描かれている他者への共感の概念が面白かったです。
おおざっぱにいうと、アンドロイドは他者への共感が出来ず結果他者に対して非常に残酷な行為を行うという描写があり、そこにぼくの解釈をつけるなら、他者への共感、感情移入が出来る事が人間の個性的な特徴の一つであるというようなものでした。
また、別の小説(伊坂幸太郎の作品の何かだったような)の犯罪者が「他人を痛めつけても自分は痛まないことに気づけるのは非凡なことである」と語っているのを否定的に描く事で感情移入は良い物と扱っているように感じました。
 一方で例えば外科手術を行う医者など、訓練でそういう感情をある程度切り離さないと出来ないような仕事もあると思います。
白い巨塔の財前五郎などはその天才を描いていたように思います。
 そして震災後、多くの人が多くの人に対して色々な感情移入をしていて色々な事が起こっていると感じます。
人間が感情移入によってどういう行動を取るのか、感情移入と現実にどういう乖離があるのか、感情移入がどれほど大切なものなのか、…そういう部分に興味があるなと思いました。