偽物語上が面白かったです

評価:
西尾 維新
講談社

¥ 1,365

(2008-09-02)

 西尾維新によるライトノベル作品、化物語シリーズ4冊目「偽物語上」が面白かったです。
この巻は化物語の後日譚を阿良々木兄妹を中心に描いていました。
 それまでいた頼りになる大人の象徴である忍野メメがいなくなり、その後に現れたのが油断成らない大人の象徴のような貝木泥舟で、大人と子供の対決みたいなものが描かれていたように思いました。
 また前回から一貫して変わらず、阿良々木暦は行為としては何かを成し遂げるのではなく、ひたすら相手を受け取り続けてたら勝手に解決していたみたいな感じですが、それがコミュニケーションの真骨頂であると同時に、ぐいぐいと何かを成し遂げて「どうだ凄いだろう」みたいな人に感じるコンプレックスみたいなものを、感じさせることなくて、引っ込み思案な人にも充分に感情移入出来る展開だと改めて感心しました。
 貝木が語る「将棋は速度を競うゲーム」という話は非常に面白く、いろいろなことに応用できる発想だなあと思いました。