偽物語下が面白かったです

評価:
西尾 維新
講談社

¥ 1,365

(2009-06-11)

 西尾維新によるライトノベル作品、化物語シリーズ4冊目「偽物語下」が面白かったです。
偽物語はどちらかというと化物語を日常へと導く緩い後日譚のように思っていたのですが、下巻は予想外に重い物語だったと思います。
 上巻でも少し感じた大人と子供の対決はこの巻にもあり、間違いのない正義を軸に強引に物事を進める影縫余弦は、子供にとってもっとも恐ろしいと感じる大人や社会を象徴するようなキャラクターだなと思いました。
 また偽物語というタイトルに見合う、本物と偽物、正義と悪というものの探求をさせてくれる作品で、個人的には影縫が終盤で語る性悪説の考えがとても面白く感じ「そこに本物になろうという意志があるだけ、偽物の方が本物よりも本物だ」という言葉は、まさかライトノベルを読んでて得られるとは思っていなかったような気づきがありました。