映画ノルウェイの森観ました。ネタバレしてないつもり

 村上春樹の長編小説原作の映画「ノルウェイの森」を観てきました。
原作はぼくが最も好きだった小説の一つで、東京での一人暮らしをする際に少なからず影響も受けたので非常に興味を持って観に行きました。
 原作が好きだったぼくには妥当で良い作品だったと感じましたが、原作が好き嫌いが別れる上に、映画がそれに輪をかけて好みの分かれる出来だったように感じたので、これから観に行きたいと思っている人は、原作を先に読んで気に入ったら観に行くというのがオススメかなと思いました。
 長編小説を映画化しているためにかなりの部分が省略されており、村上春樹ワールドはほとんど無くなっていると感じました。
一方で監督がどの部分を自分の作品の原作として使うのかによって、ノルウェイの森のポイントはどこだったのかを考える参考になったと思いました。
…ちなみに、妥当という印象は、ぼくがノルウェイの森のポイントであると感じた部分がまんま映画で描かれていたからだと思います。
 役者はみんな素晴らしかったですが、個人的には小林緑を演じる水原希子が可愛いなあと思いました。一方で直子を演じる菊地凛子は鬼気迫り過ぎで引いてしまいましたが、直子のリアリティを追求するとああなるのかな?
 村上春樹の作中で使う言葉を松山ケンイチが話すと、作中の誰かも言うとおり本当に「変なしゃべり方」に聞こえました。
 比率的に性描写が多いのですが、セックスを深いコミュニケーションの一つとして描いていたように感じたので、そこも妥当かと思ったのですが、どうにもそのセックスシーンの多くが女性から観たというか女性が喜びそうな描写が多くメルヘンチックな印象がありつつも、女の怖さみたいなのがにじみ出てて怖かったです。
特に作中最後のセックスの位置づけが、原作と大きく違う印象があり、そこは意図的に変えたのか、女怖いが決定的だったように感じました。
 世界に向けて強くプッシュする作品らしく、内容も非常にバランスが良く、賞をねらい易そうな作りだったので、今後どういう評価を受けるか興味深いです。