物語のリアリティについて

 以前に物語のリアリティについて話していてどうも話がかみ合わないなと思った事がありました。
ぼくが「これはリアリティがあるなあ」と思った物語を、知り合いは「あんなこと起こるわけがない」と話していました。
 そのときはよく分からなかったのですが改めて考えると、知り合いは物語の中で起こった出来事にリアリティがあるかどうかを語っていて、ぼくはそういう出来事があったとして、その時に何が起こるかのリアリティについて語っていたのかなと思いました。
 たとえば、日本が沈没するという物語があったとして、知り合いは日本が沈没することのリアリティを重視していて(科学的な裏付けなど)、ぼくは日本が沈没する時にどういう人間ドラマが起こるかを注目しているようです。
 ただ、起こる出来事のリアリティに関しては物語だからで補完できるし(出来る人だし)知り合いが受け入れられなかった本当の理由は、そんなことがあるわけが無いというよりも、そんなことはあって欲しくないだったような気がします。
 それらを考えると物語のリアリティというのは、受け手の共感から成り立っていて受け手の経験や、願望や、視点などによって大きな影響を受ける非常に個人的なものかなあと思いました。