龍馬伝 第20回を観て思ったこと

 初期の頃から龍馬伝の平井収二郎役の宮迫博之さんの演技がどうも好きになれなかったのですが、第20回ではそれがもろに出てしまったように感じました。
先に強調しておくと、ぼくは龍馬伝も宮迫さんも好きです。
 それでも、好きになれなかった理由の一つが、平井収二郎という役は複数の感情を同時に内包しているようなシーンが非常に多いのに、宮迫さんが一つの感情しか表現出来ていないことが多かったからかなと思いました。
 第20話の、獄中で収二郎が半平太に「わしはほんまに知らんがです。誰が吉田東洋を殺したがや」というシーンがあるのですが、宮迫さんの演技だと本当に知らなかったように見えてしまいます。
 あのシーンは、本当は知っているけど半平太をかばって知らないとしらばっくれる男の友情を演じるシーンだったのではなかったかなあと。
そうすれば、その後の切腹のシーンも泣けたし、半平太の「侍らしく立派に死んでいった」という言葉に切なさが増したと思います。
 また加尾の「まちごうたことをしておらんがやったら、兄上はどうして切腹させられたがやろ。教えとうせ。」という言葉も、男臭いプライドのために不器用に死ぬ選択をしてしまった兄と、同じような生き方をしつづける半平太に対して語っている風にもとれたのではないかと思いました。
 もっとも、そういう細かな点が目につくのは、福山雅治さんや大森南朋さんや広末涼子さんたちが、本当に見事な芝居をしているからだろうなあと思いました。
 …実はもう一人芝居がやばいよなあと気になっているのが武田鉄矢さんだったりします。