葛藤の無い演技

 以前は「泣いて馬謖を斬る」ようなシチュエーションの描写では、人前では涙を見せずに冷徹に斬り、人が見ていないところで涙を流す…という演出を好んでいました。
それが当たり前になって涙を流すシーンが無くても勝手にそういう裏があるだろうと考えるようになってました。
 ところが最近は、葛藤が無い演出が嫌いになって来ました。
その理由の一つは、その時その場に現れない葛藤は無いのと一緒だと思うようになったからです。
 泣かずに馬謖を切れる無関心な人間や、あとになって悲劇の主人公を気取って泣く人間は沢山いて、世の中にはそういうことの方が圧倒的多いからです。
 その辺りに気づいたのが2003年版「白い巨塔」の、里見脩二を演じる江口洋介を最近改めて見てからです。
 初めて観たころは信念のために友人と対立するシーンを迷わず情熱的に演じる江口洋介が好きでしたが今はあの芝居(演出)は無いよなあと思うようになりました。
ちなみに同作品で葛藤の演技が神がかって上手かったのが東貞蔵演じる石坂浩二の芝居でした。
 ということで最近は葛藤の芝居という部分に注目してドラマや映画などを観るようにしています。
ちなみに、葛藤の演出に関して、ヒーローの描写となると全く違う意見になります。
…この辺りは現在編集中のサブカル野球拳にて語っておりますので、アップ次第、記事にさせていただきます。