|
何度か感想を書いている、漫画家島本和彦が自身の大学時代をモチーフにして描いた作品アオイホノオの4巻もとても面白かったです。
この巻ではついに庵野秀明がその才能で他を圧倒する作品を作り、大芸大で頭角を現し始めますが、その表現が素晴らしく、またとても笑えました。
「庵野の新作はバカウケだった。同じ級の人間の作品が一学年上に完璧に認められる状況は耐えがたいものがあった」
という言葉などは、制作系の人間の日頃隠している本性を見事に現していると思いました。
一方島本こと焰はというと、自信満々で賞に持ち込んだ漫画がかすりもせずに、漫画に敗北感を持ちつつアニメに移行したら庵野に打ちのめされ、青春も謳歌出来ていないという劣等感をかかえ、凡人的に描かれています。
そんな状況の突破口になるかも知れない青春学園漫画というジャンルの性質に気づきつつも上手くつかめずに葛藤するシーンが素晴らしく
「人気のあるものが自分に理解出来ない時に、創作系の若者たちは決まって途方に暮れてグチを言う。」
などここでも素晴らしい言葉にまとめられています。
実際の島本和彦は大学在籍中にデビューを果たすという非凡な結果を出しているので(それでも未だにマイナーな人と扱われているけど)今後どうなるかが楽しみです。