鉄血のオルフェンズ 最終回観ました(ネタバレあり)

 鉄血のオルフェンズの最終回観ました。
最終的に多くの登場人物が死んでしまい、一番の悪玉(とも言い切れないのだけれど)は生き残り出世するという結末は、悲しいし不満も沢山残ります。
 50話もの長い物語を毎週観ていたファンとしては、批判して良いと思うし納得は難しいですが、許容できるどうかで考えるとぼくは許容できると思いました。
 でここからまあこの結末は妥当と感じた理由をツラツラと書きたいのですが…許す決定的なきっかけとなった、イオク・クジャン様最後の功績を称えたいです(笑

 以下納得した理由です。

 まず、任侠のお約束と、道徳的責任からこの結末は早々から予想できていました。
 オルフェンズでは何度も任侠じみたけじめとか責任について描いて来ましたが、そのテーマのお作法として、けじめを語り他人に責任を負わせた人間にはブーメラン的に自分に責任が返ってきて、それを受け入れて世の中の仁義がまかりとおるというものがあり、そういう意味ではセオリー通りです。
 また夕方に放送するアニメという意味からも、やはり人を殺して成り上がる主人公キャラクターは教育上報いを受けて終わる必要があったのかなと。
特に主人公達の鉄華団は、前期は生きるために仕方無く暴力を使っていたのですが、後期に入ってからは成り上がる手段として暴力を使っており、まあ色んな意味で罪はあったのかなと。
…ビスケットが居なくなったのが最大のきっかけだったかなあ。

 また、現代に様々な不安があり、若者が成功する結末にあわない時勢になっているのも大きな理由かなあと思いました。
 オルフェンズでは世の中の格差や弱者について丁寧に描いていて、貧困、教育が受けられない子ども、女性差別など、未だ現代が解決しない多くの格差がありそれらを現実の問題と直視するには、最後まで解決できない問題として描く必要があったと思います。
 さらに信頼出来ると思っていた組織の後ろ盾などの安心が突然失われる(裏切られ、奪われる場合もある!)不安もあり、安易な成功の一面だけを描くのは無責任とすら感じる時代かなと。

 そして、復讐や暴力的革命への批判があったと思います。
マクギリスが象徴的ですが、主義主張は一理あり、同情や共感できる境遇にもあったのですが、作中では彼の革命(復讐)は巻き込んだ人間を不幸にする自己中心的なもので、何よりも見苦しいものであるとぶった切ってます。
シャアが格好良いと言われた時代ではないということでしょうか。

 何より、次の世代に混乱を残さないための苦渋の決断とその偉大さが描かれていたように思います。
 ラスタル・エリオンがギレンのように身内の裏切りにあいその裏切り者(ファーストだとキシリア)をマクギリスが討ち生き残る。さらにホワイトベースクルーやアムロの様に鉄華団と三日月も生き残るという展開は確かに盛り上がったと思います。…正直そういう結末が凄く観たいです。
 ただそれだと混乱する社会を治める上で建設的に会話が出来る有能な人間(ラスタル)がおらず、シャアがそうだったようにマクギリスや三日月たち鉄華団が戦争の火種として利用され、戦争の時代が長引いて、クーデリアが最後に成したような社会を作るのに更に長い時間がかかってしまうと思います。
 子どもであるアカツキの時代の為に、耐え難きを耐え平和的に社会を変えていくというのはやっぱり偉大だなと思いました。

 などということを鑑みると、色々思うところはあるんだけれど鉄血のオルフェンズ の結末に納得です。
…まあ、それが面白いかというとまた別の問題ですが。

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