冴えない彼女の育てかたをこんな案配に観てます

 丸戸史明によるライトノベル原作のアニメ冴えない彼女の育てかたですが、ちょっとひねって観ると考えさせられます。
 この作品は主人公 安芸倫也が同人ゲームを作る課程を描いてるっぽいのですが、そのスタッフィングが全員美女で既に実績を持っていて、ついでに倫也の顔見知りだったりします。
 全員美女に関してはまあそうじゃないと観ててつまらんというところでスルーすれば良いのですが、既に実績ある倫也の顔見知りというのはちょっと考えさせられます。
 顔見知りの中で特に能力の高い人を選んだであればサークルが出来るまでのサクセスストーリーになるのですが、彼女達が既に実績あるクリエイターとなると、実績と顧客を持っている人を集めれば良い物出るよね的だったり、メジャークリエイターにコネを持っていることが決定的じゃんみたいな広告代理店ってすげぇみたいな話になります。
…実際広告代理店はすげぇので、こう観るとかなり残念な印象になると思います。
 一方で、この作品のヒロインのクリエイターでもオタクでもない普通の女の子であるところの加藤恵に対して、オタクコンテンツって結構注目されていて、そのクリエイターはその筋では引っ張りだこなんだよってことを伝えるところを注目すると、オタク啓蒙作品としての面白さが加わります。
 さらにそんな引っ張りだこの人達を無名プロジェクトに顔なじみであるって点だけを頼りにどうにか引き込む物語であると思うとかなり深くなります。
 加えて、この作品に起こっている出来事は(時差はあるにしろ)倫也が体験していて彼はそこから面白いポイント(ゲームの企画書)がつかめないのに、読者(視聴者)に向けて物語を描く作者はちゃんと面白い部分をプッシュしている点が素晴らしいです。
 劇中劇をモチーフにした作品で、ハプニング時に「カメラ止めるなよ!」と監督が語る、いわゆる劇中劇のシナリオよりもその周りで起こった出来事の方が面白い(と作者は思ってるけど観た方は「そんなでもない」と感じる)みたいな構成よりも、監督(倫也)だけが気づいてないけど読者(視聴者)は面白いって思ってるみたいな構成はぐっと来るモノがあるなあと思いました。