作品をピンポイントで楽しもう

 作品を評価するとき、あまりにピンポイントな理由でその作品が好きって言うと安っぽくなってしまうことってあると思います。
例えば登場する女の子が可愛いという理由で作品を評価すると、なんか頭悪いと思われそうだしもっと賢そうな評価理由を探すというのはありがちです。
 ただ改めて考えると登場する女の子が可愛いっていうのは、作品の良さの理由として充分なもので、もっと素直に評価した方が良いのかなと思いました。
 などと書き始めた割に往生際の悪い例えですが、映画「たそがれ清兵衛」最大の魅力は宮沢りえ演じる飯沼朋江の可愛さだったと思います。
もちろん、「たそがれ清兵衛」は原作藤沢周平、監督は山田洋次、主役の井口清兵衛を真田広之が好演し、第26回日本アカデミー賞を受賞した由緒正しい映画であり、そこだけが魅力というと反論もあると思いますが、ぼくはあの作品は宮沢りえの可愛さが一番印象的だったし、それだけで大好きな作品でした。
 同じよう(ここからが割と本音だったり)に今期のアニメ、「中二病でも恋がしたい!」は、主人公の小鳥遊 六花を筆頭に女性キャラクター、丹生谷 森夏、五月七日 くみん、凸守 早苗の描写も非常に可愛いのが最大のポイントだと思います。
 もちろんこの作品の魅力はそれだけではなく、若者が社会とどう折り合いをつけるかなども鋭く描かれていますが、彼女達を愛でるだけで充分に楽しめる作品だと思います。
 ちょっと変わった例だと、アニメ「夏雪ランデブー」に関しては、最大の魅力が「男の嫉妬心」でした。
 島尾 六花(中二病とヒロインの名前が一緒すね)をめぐる、8歳年下の若者葉月 亮介と、3年前に病死した六花の夫である島尾 篤の幽霊の三角関係を描いた作品で、本来であれば醜い物としてまともに探求されることのない男の嫉妬心を、幽霊の篤と揺れる六花の気持を描くことでコミカルに楽しむことが出来ました。
 もちろんこれも、夫婦の死別であったりそこから立ち直って生きて行くという深い物語ではあるのですが、男の嫉妬を笑い飛ばしたり、男の嫉妬を愛でる女性の目線をしる事がこの作品最大の魅力であったと感じました。
 といった具合に作品全体の格みたいなものにこだわるのではなく、一カ所であっても気に入った部分を素直に楽しむみたいなノリで作品を楽しんでいきたいなあと思いました。