映画「マネー・ボール」観ました

評価:
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

¥ 2,390

(2012-03-21)

評価:
マイケル・ルイス
武田ランダムハウスジャパン

¥ 798

(2006-03-02)

 マイケル・ルイスによるノンフィクション書籍原作の映画「マネー・ボール」を観ました。
 財力による球団格差が広がる中、リーグ最低クラスの年俸総額でありながら黄金時代を築いたチームを描いた物語で、原作の緻密な野球理論の描写を引き継ぎつつもブラッド・ピットを主演に迎えドラマチックに描かれた作品でした。
 この作品の見方は難しく「少ない予算で勝てるチームを作った物語」としてとらえるとドラマチックな演出がぴったりと当てはまるのですが、「勝てるチームが作れる革命的な手法を描いた物語」としてとらえると、もっと知りたいとなり演出が宙ぶらりんになり、人間性を描いた部分もかみ合わなくなってしまいます。
 「マネー・ボール」で描かれている理論も「予算のやりくりの中で強いチームを作る理論」ならば挑戦者としてファン達から絶賛されますが、「低予算でやりくりする方が強いチームがつくれる事を証明する理論」である場合、例えばスター選手に憧れるファン心理を否定するなどエンターテインメントのに水を差すものになります。
 ちなみにwikiによるとオークランド・アスレチックスは、マネー・ボール時代と区切りが付くくらいに近代では戦略がブラッシュアップしているそうなので、一時代に通じたサクセスストーリーくらいに観るのが良いのかなと思いました。
 そんなぼくは、ベースボールとは関わる人間全てが勝利に真摯であり、そのために残酷な決断があったり、非常な現実があることを知っていても挑み続けるからこそ、その世界に含まれる人間は全てヒーローであるというメッセージと感じ、非常に素晴らしい作品であったと思いました。