ライトノベル傷物語面白かったです

評価:
西尾 維新
講談社

¥ 1,365

(2008-05-08)

 以前に感想を書いた西尾維新によるライトノベル作品、「化物語」の前日譚「傷物語」がとても面白かったです。
 化物語で何度か指摘されていた、阿良々木の自分が死んだら丸く収まるという考え方が、不死身である事と関係なく、すでにあった事が説得力のある形で描かれていました。
 ぼくも少なからず、そういう考えがあり、またそれをどこか誇らしくも感じていたのですが、裏にある弱さを突っ込まれて、はっとすることが出来ました。
 キスショットの「うぬがわしに優しいのは—わしが弱っておる間だけじゃろうとな」という台詞も、何人かに阿良々木に向けて語らせているのですが、今回が最も残酷に聞こえました。
そして阿良々木に多分初めて「僕はお前を、助けない」という選択をさせたのは素晴らしいなあと思いました。
 文章も綺麗で、言葉も練り込まれていて、文末にあった「そして傷物達の物語が始まる。」などは、本作品タイトルを意味深にして、その後に続く物語の始まりを描いているようで素晴らしかったです。