ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムはジブリ作品をインスパイアした部分が多い?(ネタバレあり

 ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(略してティアキン)に「ジブリ作品」をインスパイアした部分が多くあると指摘されており、「最高」の既視感と評価されたり、パクリと批判されたりしています。

『ゼルダの伝説 ティアキン』 多くのプレイヤーが感じた”強烈な既視感”が「最高」だと話題に

【衝撃】ジブリファンからの訴え!ゼルダティアキンはパクリだらけ! : ダクロのゲームまとめニュース速報

 ぼくも、ティアキンにはプレイヤーに解る明確な、ジブリ作品…というより宮崎駿作品をリスペクト(インスパイア?パクリ?)したシーンや演出があると感じています。
そしてそれらは挑戦的ではあっても敬意のある好感が持てるものと感じています。

【ゼルダの伝説/裏設定】「これ、宮崎駿がやりたくて出来なかった事なんですよね。」ゼルダの伝説をネタバレ無しで徹底考察!【やるなら今からでも遅くない】
ティアキンの前作であるブレワイの時点から、岡田斗司夫さんは宮崎駿作品との類似点を指摘していました。

良作を求めれば自然と同じ形になる部分も多い

 良作に求められるセオリーに則っている部分も多く、例えば「もののけ姫」と似ていると指摘される日本やアジアのテイストが強調されたデザインなどは、日本発の作品に世界が期待するものを意識すれば、自然とそうなると感じました。(岡田斗司夫さんのお世話になりっぱだなあ)

『ハウル』が海外で評価されなかった、悔しすぎる理由|ジブリ|宮崎駿【岡田斗司夫切り抜き】

挑戦的と感じる部分(ネタバレあり

 ティアキンの宮崎駿作品インスパイアには、敬意を持ちつつもより良くアレンジしたと正面から張り合う挑戦的と感じるものも多くあります。
特に、物語クライマックスでリンクがゼルダ姫を抱え空から湖に飛び込むシーンは「ルパン三世 カリオストロの城」クライマックスでルパンがクラリスを抱え湖に飛び込むシーンをより良くしようと挑んでいるようで、結果はティアキンが圧倒したと感じました。
カリオストロの城での件のシーンは作画などのクオリティは圧倒的ながら物語との調和はあまり良くないのに対して、ティアキンでは物語的にも冒頭からの伏線的にも完璧にマッチしていて、最初からあれが描きたかったのだろうと感じる素晴らしいシーンになっていました。

プロデューサーの青沼英二がプレイする『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』
空から水場への飛び込みは、発売前の動画でも紹介されていました(11:20辺り)

 そういう差を感じたのはカリオストロの城側のやむを得ない事情もあって、関係者インタビューなどによると、件のシーンもふくめ終盤は諸々の事情で最初に想定したものから、大きく縮小変更がされていたそうな。
ちなみに、本来予定されていたカリオストロの城のクライマックスを岡田斗司夫さんは「大規模な空中戦が計画されていたのでは?」と推測されており、もしそうならティアキンのクライマックスはカリオストロの城の当初の案を完成させたようなものに仕上がったのでは?とまで想像しています。

宮崎駿がカリオストロの城でやり残した事その1・空中戦/死の翼アルバトロスと風立ちぬでの演出とは【岡田斗司夫ゼミ切り抜き】

 恐れ多い存在と扱われる宮崎駿監督作品と、こんな風に正面から(むしろ弱点から?)ガチで張り合う挑戦的な姿勢は珍しく、そして心強く感じます。

意見が分かれるのは当然

 挑戦的と感じる部分は上記以外にもかなりあって、宮崎駿監督作品ファンにとっては好みが分かれると思います。
また、昨今のトレスやパクリなどに対するとても厳しい世情や、ブレワイの続編であるティアキンに対する様々な期待からも、賛否両論になるのはもっともだろうなあと感じます。

Card
…これは怒られそうなやつかな(笑

「最高」の既視感

 とはいえ、ぼくはティアキンの宮崎駿監督作品インスパイア全般にかなり強い好感を持っています。
 空島は「天空の城ラピュタ」、地上は「もののけ姫」、地下は「風の谷のナウシカ」が連想され、明確に宮崎駿監督作品にあった「何か」を感じますが、実はそれらは宮崎駿監督だけでなくスタジオジブリが今(「崖の上のポニョ」辺りからは完全に)採用しなくなった要素でもあると感じます。
加えて、圧倒的過ぎた「何か」は他のクリエイターにとっても挑戦を避ける壁として君臨してしまっています。
 極めつけは宮崎駿監督最新作「君たちはどう生きるか」が、強い作家性や深みなどが強調される一方、ぼくが好きだった「何か」は否定されており、引き継がれることなく滅びるのかと寂しく大いに落ち込みました。

君たちはどう生きるか – スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI

そんな最中、最新の世界的大流行のゲームであるティアキンの中に、好きだった「何か」を感じた時の感動はまさに「最高」の既視感でした。

 加えるなら、この件のような野暮ったく「おや?」と思うことがあっても、娯楽的面白さで圧倒し納得させてしまうごり押しな魅力こそ、かつての宮崎駿監督作品とティアキンに共通している点であると感じています。
 数多噂された宮崎駿の後継者はまさかのゼルダの伝説…任天堂だった!というのは、最高の希望に満ちた未来であり、ぼくの大好きな「何か」はこの先も引き継がれて行きそうです。

…まあ、それはそうとスタジオジブリが、ティアキンの事どう思っているのかは凄い気になります。