ラテラル・シンキングで思う事

評価:
松岡 圭祐
角川書店(角川グループパブリッシング)

¥ 555

(2012-02-25)

 特等添乗員αでよく使われるラテラル・シンキングという言葉ですが、
日本実業出版社 今月のイチオシ書籍 ロジカル・シンキングを超えたラテラル・シンキングって何?
で分かりやすく書かれていました。
 上記のページによると
「渋滞中の上り坂であなたの前の車が バックしてきたらどうする?」
という状況でロジカル・シンキングでは、
「クラクションを鳴らして、前の車に自覚させること」
「可能な限りバックして前の車との距離を稼ぐこと」
であるのに対して、ラテラル・シンキングでは、
「下がってくる前の車に向かって走り、接触するギリギリのところで静止する」
(これならば、多少の傷はつくかもしれませんが、大クラッシュやあなたの後続車を巻き込んだ玉突き事故という最悪の事態は免れます)
となるのだそうな。
 そしてこの例こそが、ラテラル・シンキングの難しさを象徴していると思っていて、「下がってくる前の車に向かって走り、接触するギリギリのところで静止する」という行動は、例えば「前の車が途中で気づきブレーキをかけたけれど、前に向かって走ったために接触した」という状況になる可能性があります。
 という具合にラテラル・シンキングで得られる回答は、リスクとノイズが非常に高いものが多く、さらに失敗したときに周りの人間の理解が得られない奇行となる可能性もあり、その思いつきが行動に繋がるか?と難しいと思います。
加えて、ラテラル・シンキングが一つの成功に至には、どんな天才であっても何倍もの失敗の積み重ねが必要になり、とっさの機転というよりは方針を考える手段の一つなのかなと感じています。
 ちなみに上記の特等添乗員αシリーズでは、ラテラル・シンキングを駆使する浅倉絢奈の、正解率がエピソードが進むにつれて神がかってくるというのはまあフィクションとしても、当初は周りから奇異の目で見られる失敗も多く、それに頼らざるを得ない境遇であった描写などにはリアリティがあり、なかなか面白いです。