終物語(中)が面白かったです(ネタバレあり)

評価:
西尾 維新
講談社

¥ 1,575

(2014-01-29)

 西尾維新によるライトノベル作品、化物語シリーズ16作目「終物語(中) しのぶメイル」が面白かったです。
時系列的には傾物語の後、猫物語(白)と同タイミングで、猫物語(白)で多くの伏線が張られていた、阿良々木暦と神原駿河の物語がついに描かれます。
 恋物語から物語が停滞していると感じていて、とりわけ暦物語と終物語(上)では短編集になりいよいよやきもきしていたのですが、終物語(中)で一気に物語がクライマックスに向かったように感じます。
 猫物語(白)時では、八九寺真宵と神原がヒロインかと思っていたのですが、しのぶメイルというサブタイトルが示すように、忍野忍がヒロインで傷物語、傾物語、鬼物語で触れられていた、1人目の眷属だった「初代怪異殺し」が敵役として登場します。
 傷物語や傾物語ではキスショット(や忍)によって含みのある言い回しで語られていたのが、鬼物語では一転してぱっとしないキャラクターとして語られていた彼が、この物語では非常に魅力的に描かれていました。
 「初代怪異殺し」がかつて怪異の専門家であり、場をしきるのが臥煙 伊豆湖ということで、対決を描きながらも整理されてゆとりある印象が強く、どちらかというと忍の恋愛劇が一番の見所だったと思います。
神原と忍がとっくみあいで恋愛で語るシーンは泣けました。
 戦場ヶ原ひたぎや神原が「よりも条件がいい奴が告白してきたら、乗り換えると」という、恋愛の残酷さを受け入れているのに対して、受け入れられず怯える忍が可愛く、また物語の最後ではきっちりと締めてくれました。
 あと細かいネタですが、これまでやられっぱなしだった臥煙さんに阿良々木暦が一矢報いて(?)青ざめさせるシーンが好きでした。