傷物語 I 鉄血篇を観てきました(ネタバレあり)

評価:
西尾 維新
講談社

¥ 2,484

(2015-12-23)

 西尾維新によるライトノベル原作のアニメ映画「傷物語 I 鉄血篇」を観てきましたが、とても面白かったです。
 …面白かったのですが免責も兼ねて最初に断っておくと、上映時間が60分の三部作で一回1500円というのは、割高だし、3回観に行く機会をつくるのが面倒だったりと、ファンでも普通に大きなマイナスポイントなのは間違いなく、「ファンだったらそれくらいあり」なんていうのはごくごく一部な考えで、そこはちゃんと葛藤して覚悟を決めてから観るかを決めて欲しいです。
 などと水を差しましたがそれを弁えていれば、抜群に面白いです。
原作が手元に無いので原作で言うところで何章が書けないのでネタバレかもしれない描かれていたところをあげると、
○羽川翼との出会いの会話
○キスショットとの出会い
○ロリキスショットとの会話
○ヴァンパイアハンターと遭遇
○忍野メメとロリキスショットとの会話
…に、なります。(漏れてたらスミマセン)
凄く少ないようですが、物語シリーズは映像化不可能と言われたバランスの会話劇なので1/3にはなっていると思います。
作品全体と通して思うのが、絵のクオリティが滅茶苦茶高いです。
 特にキャラクターの可愛さがTV版以上で、これは劇場版アニメでは実は珍しいかなと思います。
…なんかぐりぐり動かしたり写実的にするために、劇場版ではキャラクターが不気味の谷真っ逆さまな絵になることが多いのですが、傷物語ではアニメキャラクターならではの可愛さにこそ制作カロリー大きくを使っていると思いました。
 TV版の化物語でもおなじみの阿良々木暦が羽川のパンツを観るシーンは、アニメ版を遙かに越える強風で、可愛いとか色っぽいを越えたなんか気まずいエロさになってて素晴らしかったです。
 ロリキスショットは見せ場が非常に多く、特に日光の下に出た阿良々木を助けるシーンが素晴らしく描かれていて嬉しかったです。
あのシーンは、西尾維新の別作品「戯言」シリーズの玖渚友や「世界」シリーズの黒猫もやっている、ファンには大切なお約束の見せ場だと思っています(笑
 個人的に一番好きだったのは、大人のキスショットで想像していたよりも遙かに美しく、原作でもキュンキュンに萌えた命乞いのシーンが物凄く丁寧に描かれていたのはたまりませんでした。
…彼女を前にして自分の命を差し出すことを良しとしちゃう危うさは、当時のぼくが傷物語で一番共感した部分だったりします。(子どもが出来てすっかり分からなくなってしまいましたが)
 背景も今まで平面的だった背景に奥行きが出来て恐ろしくクオリティが高く、序盤ではついに阿良々木暦が住む町の写実的な絵が分かるのか?と思ったら、話が進むにつれてやはり記号的というか舞台背景的なものでしたが、もうなんかキャラクター観てたいいやって感じです。
 なんか萌えとかばっかに触れてますが、可愛い女の子との会話は何よりも楽しいってことが物語シリーズの売りだと思うので(?)、特にこの回に関しては二次元のキャバクラに行ったと思って鼻の下を伸ばすのが正しい作法の一つだと思います。
 …もちろん、多くの伏線となる絵もあり、今後を期待する原作ファンがその辺を気にし出すとロリキスショットの仕草や目配せ一つで泣けたりするのですが、それは三部作観てからの評価としたいです。
 そういえば、劇場来場特典 偽尾違新書き下ろし小説「混物語」…余裕で無くなって配布終了でした。ショボーン。