借りぐらしのアリエッティとトイ・ストーリー3を比べて思うこと

 日本とアメリカがそれぞれ世界に誇るアニメスタジオ、ジブリとピクサーの作品「借りぐらしのアリエッティ」と「トイ・ストーリー3」が現在放映されています。
ということで、野暮を承知でちょっと双方を比較してみたいなと思いました。
…先に、結論を書くと、トイ・ストーリー3の方が借りぐらしのアリエッティより面白く、より多くの人に観てもらいと思いました。
 ぼくは同日に両作品を先に借りぐらしのアリエッティその20分後にトイ・ストーリー3をという順番で観ました。
 借りぐらしのアリエッティを観た時は「よく分からない部分もあったけどなんか良いなあ」という印象だったのですがトイ・ストーリー3の「隣の人も今自分と同じ事を感じているだろう」と思えるくらいに分かりやすいのを観ているうちに「アリエッティ大丈夫か?」という気持ちになって来ました。思えばアリエッティは結構な量のお客さんが入っていたのですがみんな揃って笑ったシーンがありませんでした。…多分揃ってしんみりするシーンも無かったように思います。
 反対にトイ・ストーリー3はみんなで笑ってみんなで泣けるそういう「映画館でみんなと観る楽しさ」が準備されていたように思いました。分かりやすい共感を提供しつつも、簡単には伝わりにくい繊細な事や、物語全体を通じて一言には要約出来ない事もパワフルに伝えてくれています。
 ぼくは伝えたい事の内容や伝えるための手法よりも、どれくらいその事を伝えたいと思っているのか?の方が重要であると考えているのですが、トイ・ストーリー3と比べるとアリエッティはそういう想いの強さみたいなものが感じられませんでした。
 そう考えてから以前に紹介したハウルの動く城の考察サイトを改めて思い出すと、ジブリは「伝わらないこと」を軽く見ていてそれがトイ・ストーリー3によって明確になったように感じました。