2016年秋アニメの序盤 を観て

 秋アニメが始まってますので序盤で気になったタイトルの感想をたらたらと書きたいです。

夏目友人帳 伍
 緑川ゆきによるマンガ原作のアニメ。
 シリーズ化して知り合いが増えたので、緊張感みたいなものが薄れるのを心配してましたが、相変わらず登場人物の孤独な描写が面白く、そこからグイグイ引き込まれて行きます。
 例えば、夏目貴志が親戚から受けていた扱い、本当の(と少なくとも自分は信じている)ことを言ったのに周りから嘘吐き呼ばわりされる状況の切なさって、子どもの頃に大人にされて傷ついた覚えって誰にでもあると思います。
話せば分かる妖怪が人に理解されず忌み嫌われている描写は、子どもの頃に近所で見かけた子どもにはそれなりに人気あるおじさんと遊んでたら、あとで大人から「あの人は働いてないからあんまり関わらないように」と言われて切ない気持になった時の気分が思い出されたりしました。
 何よりも、そんな自分が子どもだった時に自分を傷つけた大人の感覚に自分がなっているのを、妖怪という実在しない(はず多分)存在を通して気づかせてくれるという見せ方は怪異譚の醍醐味だなあと思います。

アニメ 夏目友人帳

ドリフターズ
 平野耕太によるマンガ原作のアニメ。
古今東西の英雄が、中世ファンタジー風の異世界に召喚されるアクション系歴史ファンタジー作品。
 比較的新しい時代の英雄やら、日本では身近で人間味あるエピソードが多く残る戦国武将など、魔法っぽいファンタジーがあまり連想されないキャラクターが多く、また法則の細かな解説がないためイマイチ乗れないです。
…個人の力よりも用兵術が優れていた英雄が一騎当千の猪武者ぽい力で活躍しているのに、ちょっとした言い訳が欲しいんです。
 何となくFateのルールを当てはめて観ているのですがもう少しおおざっぱな、あんまり詳しくないけれど戦国アクションゲームなどが好きな人には「あの状況ね」みたいな暗黙の了解というかなじみな設定があってそれにノれるかどうかで評価が分かれるのかなと思いました。
 個人的には苦手ですが、その設定を活かした作品は新しい伸びしろがあって、今後注目なんだろうなあとは感じています。

アニメ「ドリフターズ」公式サイト

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
 鉄華団も前期で色々落ち着いたのかなあと思って観たら、相変わらず殺伐としてて面白いです。
しかも今期は最初から少年達が積極的に民間軍事会社(PMC)を運営しており、これまでのガンダムのように戦争に巻き込まれるのではなく、積極的に関わって成り上がっていくのが目立ちますが、不思議と悲惨さよりもたくましさの方が際立っているように感じて個人的には好きです。
 そんな作品だけに、少年達があっさり殺されたり殺したりをする描写があり、善し悪しとか好き嫌い以前に批判で潰されないかが心配ですが今の所セーフみたいです。
…個人的には、そう成らざるを得ない環境とか、それに何も言ってあげられない解決してあげられない無力さみたいなものは凄く魅力的に感じていますが、かなりのリスクだろうなと心配です。
 ちなみに、そんなたくましい鉄華団やどうしようも無い境遇の描写は、作り手であるアニメーター達とか業界の境遇をモデルに描かれているのでは?みたいに感じるシーンがいっぱいあり、なんかすごい説得力を感じます。
ただ、これまではそういう部分を気づいて意識した方が楽しめるのかなと思っていたのですが、最近は(多分シン・ゴジラ辺りから)そこを断定しないからこそ作り手は言いたい事が言えるし、視聴者も安心して共感したと公言できるので、あえて掘り起こさずに観た方がいいのかなと感じ始めてます。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ