掟上今日子の備忘録が面白かったです(ネタバレありかも)

評価:
西尾 維新,VOFAN
講談社

¥ 1,350

(2014-10-15)

 西尾維新によるライトノベル「掟上今日子の備忘録」が面白かったです。
 一度眠るとその日の出来事を全て忘れてしまう(たぶん脳機能の障害か何か)という探偵掟上今日子と、あらゆる事件に巻き込まれ常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介を描いたミステリー作品です。
 人が死んだりするような罪深い犯罪は描かれておらず、一日しか記憶が保たない今日子の孤独であったり、それ故に無防備に見せてしまう隙だったりを楽しみながら読める作品だったと思います。
 今日子は調査の途中で眠ることで記憶を失うことの対策として、体に直接メモを書くのですが、気持に秘めておくことが書かれていたり、記憶を失った際には人目も気にせず自分の体を探ったりと、全般的に「隠し事をする余裕が許されない」辺りに同情と同時にちょっとうらやましさも感じました。
 今日子の推理描写に関してはとにかく手っ取り早いところが魅力で、探偵の気分になって謎を解いていくのを楽しむ余地はたぶん無いと思います。
…推理通ならいけるのかなあ?ぼくには無理でした。
 トリックに関してはスピード感とあわせると充分に納得出来るものだと思いました。
 また、動機の描写に関しては、物語シリーズばりに素晴らしいものがあり、特に「さよなら、今日子さん」での須永昼兵衛が物語に込めたメッセージなどは本当に素晴らしく、犯人のどんな小さな嘘も見抜く人間不信になりそうな嗅覚が、人間の愛に対して確信を持つことにも使えるという、素晴らしさがあったと感じました。
…ちなみにこのタイトルの一番嬉しいことは、ついに西尾維新の小説が電子書籍で読めるようになりました!
今回もBook Live!で読みましたが、やっぱり小説はスマホが一番読みやすいです。