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松岡圭祐によるライトノベル万能鑑定士Qの事件簿II~IVを一気に読みましたが、とても面白かったです。
推理作品の多くは、頭の良さがないがしろにされる社会に対してもの申したいみたいな部分がありますが、このシリーズはそれが特に強いと感じます。
そういう意味で、頭の良さで優劣が決定されていた学生時代に未練があるような社会人…みたいな人が読むと抜群に楽しめると思います。
IVまで読んでもやっぱり表紙の凜田莉子はキャラが違うよなあと感じますが、映画化の作品は綾瀬はるかが演じるそうで、そっちの方がイメージに合いそうだなあと楽しみにしています。
IIは力士シールの真相とハイパーインフレについて描かれており、Iで描かれていた多くのことが全てIIの結末の伏線だったんだとうなりました。
全くの空振りだと思っていた情報が、実は全部謎を解くための鍵だったという演出も、心理的な錯覚を楽しむミステリーの妙だと思いました。
偽札の流通からハイパーインフレまでの流れは昔なら嘘くさいと感じましたが、東日本大震災後の混乱を見て「あるかも知れない」と楽しめました。
個人的には、お金というものが社会の同意で成り立っていて、万能なものでは無いという部分が好きでした。
IIIは、小室哲哉に怒られるんじゃね?みたいな、音楽プロデューサー詐欺事件を描いた作品でした。
音楽プロデューサー西園寺の、世の中を勘違いしている感が痛々しく、また犯罪の内容は悪質で、根っこの部分もゆがんでいて、なんというかちょっとやり過ぎなのでは?と思いましたが、良い悪役だなと思いました。
IVでは義賊と呼ばれた男を父親に持つ人間の葛藤を描いた映画ポスター連続焼失事件で、犯人は割とすぐにわかるので犯人の綱渡りだったり、凜田莉子との駆け引きだったり、犯人側の視点で楽しんでいました。