映画「プレシャス」観ました

評価:
Amuse Soft Entertainment =dvd=

¥ 1,980

(2010-11-05)

 サファイアによる小説「プッシュ」原作、リー・ダニエルズ監督の映画「プレシャス」を観ました。
 1980年代後半アメリカ貧困層の過酷な環境で生きる肥満した16歳の黒人の少女・プレシャスの教師との出会いを描いた作品です。
喪失感にあふれた作品で安心の美談として楽しめない怖さがありますが、不思議と絶望感はないという作品でした。
これはプレシャスの現実逃避妄想のビジュアル化、マライア・キャリーやレニー・クラヴィッツという浮き世離れしたキャスト達の活躍が非常に影響しているんだろうと思います。
 プレシャスを虐待する母親役を演じるモニークの芝居が素晴らしく、病的で鬼気迫るものがあると感じると同時に、彼女の話を聞いたマライア・キャリー演じるソーシャルワーカーが頭を抱えるシーンの「うわー、駄目すぎる」みたいな描写で追い詰められない安心感がありましたが、この辺りモニークがコメディアンという影響もあるように感じました。
 観ていて体力を奪われ悲惨な描写も多い作品で気軽には勧められないけれど、(余所の批評でよくこの作品と比較されている)ダンサー・イン・ザ・ダークが完全アウトだとすると、まだギリギリセーフだと思います。
(観た日:2012/01/04)