同人ゲーム「うみねこのなく頃に 散」が面白かったです(ネタバレあり)

 同人サークル 07th Expansionによる同人ゲーム「うみねこのなく頃に 散」が面白かったです。
今回は(展開編)ということで、原作・原案・総監督の竜騎士07さん曰く、「謎は全て解けた」という段までは描いたとのことでした。
 ちなみにぼくは、トリックは3割くらいしか理解してないと思いますが、それでも「知りたいこと」は知れて、充分に楽しむことが出来ました。
ぼくが知りたかったことは、「犯人は誰か?」「犯人は一連のゲームで何がしたかったのか?」で、その程度までは理解出来たと思っています。
…まあ、思っているだけでは不安なので、「最終考察 うみねこのなく頃に」を購入して答え合わせをしましたが、まあだいたいあってました。
 レビューなどを見ていると「まったく分からなかった」とか「分からないことがストレスになった」みたいな意見をちらほらみますが、普通にやれば分かると思うし、仮に分からなくても充分に面白いというがぼくの意見です。
 ぼくはミステリーに疎く、この作品を戦人とベアトリーチェのラブストーリーとして楽しんでいました。
謎も解かずミステリーの作法を知らない人間がどうやってこの作品に納得したかを紹介したいと思います。
…以下、多少のネタバレがあるかも知れません。


 ベアトリーチェが最高に可愛くそして最悪に切ないです。
Episode4の最後での「私はだぁれ?」という言葉は「もう分かっているでしょ?」みたいな期待と甘えにあふれてましたが戦人は答えられず彼女を失望させます。
 それがどれほど切ない事なのか、この時点では想像も出来ないのですが、アニメから同人ゲームというメディアを変えてまで追いかけたのは、その時に彼女を失望させる何があったのかが知りたかったからです。
既にベアトリーチェにかなり惚れ込んでいたと言えます。
 Episode5では古戸 ヱリカによる謎暴きが描かれているのですが、彼女は出題者が至って欲しい答えを受け入れず出題者が困る答えをでっち上げることを勝利と考えており、彼女を放っておくとベアトリーチェの言いたかったことが曲解や皮肉な解釈で汚されるとハラハラしました。なので途中からの戦人のあり方がとても嬉しかったです。
 …同時にその戦人ならメタ世界のベアトリーチェを癒やせるのでは思いましたが、残念ながら最後に描かれたのは最悪のすれ違いでした。
 Episode6では戦人がゲームマスターになり古戸 ヱリカと対決します。
この対決は、戦人とベアトリーチェの真実を皮肉にまみれたゴシップにしようとする古戸 ヱリカから守る物語と楽しみました。
エピソードの最後に物語最大の謎に気づきましたが、戦人とベアトリーチェのラブストーリーとのリンクまでは至りませんでした。
ここで気づけていたらさぞかし感動出来たろうにと思うと残念です。
 Episode7ではウィラード・H・ライトが主役となりますが、彼はミステリーにおいても動機を最優先するということでゴシップではない恋愛物語の語り部になってくれるだろうと安心しながら読み進めます。
彼がたどり着いた真実のベアトリーチェが本当に不憫で心底愛おしくなりました。
 やっと恋愛物語のパーツが全て揃い、それらが成立する解釈と辻褄のあうトリックがあるらしい、というあたりでミステリーの考察はばっさり切り捨てました。
…下手に推理をして恋愛物語を野暮にしたり、最悪、作中に矛盾があったりしてぶちこわしになるのを恐れたからです。(のちに矛盾はないことがわかり、ここも悔やまれる点です)
 このエピソードではさらに、縁寿が一人で生きる「現実の世界」の過去に起こった事がかなり明確に描かれます。
 Episode8は、戦人とベアトリーチェの二人が未来に何を残すのか?という物語で、戦人の妹である縁寿のその後の人生であり、ベアトリーチェが作ったゲームが社会に与える影響です。
自らを不幸にする思い込みから抜けられずにいる縁寿に、新たな解釈を与えるというのが、このエピソードで戦人がしたかったことであろうと思います。
 ミステリーは放置のぼくですが「ベルンカステルからの挑戦」は本気で取り組み謎を解くことができました。
…結構ヒントを読んでしまいましたが。
 戦人たちと、ベルンカステルの軍勢との戦いはまさに社会の影響との戦いであったと思い社会までも巻き込んだ大迷惑な恋愛ということでニヤニヤしました。
 ぼくとしては終盤の、戦人とベアトリーチェが二人でボートに乗って島を出るシーンこそが最大のクライマックスであり、Episode5でベアトリーチェが求めた、「戦人がベアトリーチェ抱きかかえて逃げ出す」という希望を叶えたシーンであったと思いたいです。
まともに考えるとあのシーンは大半が妄想であるとなるのでしょうが、ぼくはあのときベアトリーチェは存在していて、戦人と語らうシーンがあったと強引な推理をしたいです。
 以上から、「うみねこのなく頃に 散」は最高に素晴らしい恋の物語であると考えれば、ミステリーの答えが分からなくても充分に楽しめると感じました。
 …などと、つらつらと思考の流れを書きましたが、うみねこのなく頃に 散に関しては、全く書き足りないので今後も色々書き足していきたいです。