クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識が面白かったです(ネタバレアリ)

 西尾維新によるライトノベル「クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識」が面白かったです。
この作品は戯言シリーズの二作目であり、ぼくは一作目である「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」も読んでいるのですがあえてこちらの感想を先に書きたいと思います。
…別にクビキリサイクルよりもクビシメロマンチストが極端に好みだったと言うわけでなく、クビシメロマンチストに今何となく語りたいなあと思っていることが上手に描かれていたからです。
 早速以下からネタバレアリで。


 クビシメロマンチストで面白いと思ったのが、主人公が他人を受け入れる部分と受け入れない部分がすごくいびつという部分でした。
 個人的には主人公に「許す」というセンスが全くないというか、何よりもそれを恐れているという印象があり…困った事にぼくはそれにすごく共感してしまいました。
 自分の事を本気で殺したい人間が居るなら別に殺されても良いと思ったり、巫女子のアリバイや自殺を他殺に見せるための協力は積極的にするけれど、それは許しているわけではまったくなくてむしろ積極的に相手の罪悪感を煽ります。
ただ、罪悪感を煽る理由は相手を責めたいからではなく、どこか自分と同じ人間を作りたいからという印象でした。
 主人公自身が「正直もう死にたい」と思うくらいの感覚…今回それは罪悪感ではないかと感じたのですが正確には不明…にどっぷり浸かっており、他人にそれと同じような罪悪感をあたえ、結果相手は自殺と、自殺未遂を行っており、それを観る事でやはり自分も許されないんだと落ち込んでいくというループがあるように感じました。
 そんな主人公にとって巫女子の「助けて欲しかった」は許して欲しかったという意味でもあり、主人公にとっては、自分自身が本当にすがりたい甘えたいけど必死に飲み込んでいる、あるいは玖渚友あたりによって与えられている(ここもこの巻では不明)のに受け入れないでいる、どうしようもない地雷だったように感じました。
 戯言シリーズを読み続けるとして個人的には、この主人公が何を背負っているのか?実はこれを先に読んで落ち着いてから読みたいと思いました。