映画「バケモノの子」を観ました(ネタバレないはず)

 細田守による監督アニメ映画「バケモノの子」を観ました。
色々なテーマだったり比喩はあるんだろうけど、ざっと観た印象は師弟愛を中心にしたバトル作品って感じでした。
 そして、伏線とか物語の練り込みがおおざっぱで突っ込み所満載ながらも、映像演出とシーン毎の気持ちよさで一気に見せつつ、言いたい事はなんとなく伝わる感じは健在でした。
…個人的には充分に楽しめたのですが、他の人が観ても一般的に面白いのかは色々不安があるところです。(面白さが客観的に説明出来ないのが苦手で。。。)
 ぼくが一番共感出来たのは、家族と絆を持つことが出来なかった子供九太の描写で、彼が子供ながら自立するために人間社会と異なる世界に入っていく部分は、共感と同時に泣ける部分でもありました。
 ああいう影がありつつも魅力的なキャラは時をかける少女の間宮千昭、サマーウォーズの陣内侘助、おおかみこどもの雨と雪の雨として(細田監督自身ともちょっと似てるのだそうな)登場しており、ついにこのタイプが主人公になったのが嬉しかったです。
 そんな九太に対して粗暴な熊徹が不器用ながら師匠と父として向き合う姿は、男として色々考えさせられるものがあり、特に正面切って本音の暴言を吐き合える関係というのは、なんか男としてはとても良いなあと思いました。
同時に対照的な蓮と父の関係は、大人として考えるべきことも描かれていたと思いました。
 終盤にあるバトルシーンに関してはなんか色々意味が分からなかったり恥ずかしいぱっと出の話が多いのですが、映像的は素晴らしくエンターテインメントとしては充分に面白かったと思います。
 加えて、最後に楓と蓮が共に進めている高認試験や、蓮と父の不器用に相手を察しながら少しずつ進める家族の描写があるのは、うまく馴染めず離れていた社会や家族を帰る場所って思っても良いじゃないか?というメッセージを感じました。
 で、これまでの細田守作品を観てきたぼくとしては、ついに監督に似たはぐれもののキャラクターが社会や家族に帰ろうとするハッピーエンドを迎えたのは、物凄く嬉しいと同時に、作品(監督)の大きな突破を感じさせられて今後が更に楽しみになりました。