掟上今日子の推薦文を読みました(ネタバレありかも)

 西尾維新によるライトノベル「掟上今日子の推薦文」を読みました。
 シリーズ二作目の作品でヒロインは一度眠るとその日の出来事を全て忘れてしまう探偵 掟上今日子と変わりませんが、主人公は美術館で警備員を務める青年 親切守に変わっています。
 前作の主人公である不遇の青年 隠館厄介と今日子との関係に比べて、親切と彼女の関係は仕事ではより親密ですが、男女としては距離がありシリーズ通しての主役とは違うのかな?とか思っています。
 ということで恋愛物語の要素は薄く、また登場人物が非常に少なく犯人当てが楽しめないことからミステリー要素も薄く、更に言うと今日子の記憶を失ってしまうという設定も薄くなっています。
 その代わりに、今日子の探偵としてやり手である部分や、名探偵独特の腹黒さや平気で嘘をつくところ(これは西尾維新作品の大きな魅力だと思います)、あとお金にがめついところ等、彼女のたくましさが存分に描かれていたと思います。
 またミステリーで一番鋭く描ける、他人を善悪あるいは好き嫌いで判断しようとすることの危うさが親切守の思考から描かれていたり、他者や自分の才能と向き合う葛藤みたいなものの描写は、戯言シリーズが思い出されました。