竜とそばかすの姫のラストシーンで改めて思うこと

 以前に記事にした、竜とそばかすの姫の終盤の虐待を受ける恵とトモを救うために、高校生のすずが高知県から単身、恵とトモの暮らす東京まで向かうシーンについてですが、実際に起こった痛ましい事件をニュースなどで知り、より腑に落ちるようになりました。

竜とそばかすの姫のラストシーンに思うこと(ネタバレアリ | Office Nakao

 多くの人が児童虐待を無くすべく努力されてますが、それでも万能ではなく、対応の出来ない場合もあり、その結果取り返しのつかない痛ましい事件が起こっており、それらに対する憤りは、控えてはいけないと感じました。
 ネットなどの感想には、虐待に対しては児童相談所に任せ独自に判断し行動してはいけない…という趣旨のものが極端に多く、だからこそ、作品を通して強く語る意義があったと感じました。

 そして以前は、すずが選んだ手段を、

アニメ作品の中で中途半端にリアリティある解決は無責任になるため、絶対にマネできない解決方法を荒唐無稽に描いている

と解釈しましたが、むしろ、すずが選んだくらい踏み込んで行動しないと、現実は変えられないという、強い呼びかけであったと感じました。

 作中に出てくる大人を含んだ多くのキャラクターが、未成年のすずに問題の解決を丸投げするのは無責任である…とツッコミたくなるのですが、どちらかというと止める間もなくすずが行ってしまったように感じます。
すずのその判断は思慮の足りない勢いまかせなものとも言えますが、一人で決断し行動しなくては間にあわなくなるという判断でもあったと思います。

 現実の児童虐待が、一歩が踏み込めなかったとか、対応が間に合わなかったということで防げないケースがあるのを見ると、すずの判断や行動から描きたかったものが腑に落ちたように感じました。