バタフライエフェクトの描写について(ネタバレあり)

評価:
ニトロプラス

¥ 6,580

(2010-08-26)

評価:
西尾 維新
講談社

¥ 1,365

(2010-12-25)

 バタフライエフェクトとは、極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となることを、「ある場所での蝶の羽ばたきが、そこから離れた場所の将来の天候に影響を及ぼす」とドラマチックに例えたものです。
 で、この描写について対照的で面白いなと思った、「シュタインズゲート」と「傾物語」の二つの作品について、以下ネタバレありで書きます。


 PCゲームであるシュタインズゲートは、未来を変える些細な行動は全てプレイヤーが行い(主に携帯電話の操作で)、その結果様々なことが起こるということを楽しみます。
加えて、パラレルワールドを利用して繰り返し試すことが可能で、いってみれば因果応報が受け入れられる形で成り立っていると思います。
その上で因果応報など人間には計算できっこないというバタフライエフェクトを逆手に取った時にはしてやった感があり非常に爽快で、受け入れがたい運命に打ち勝つという願望を叶えてくれるロマンや感動がありました。
 そして、傾物語もこのバタフライエフェクトについて面白く語られています。
こちらもパラレルワールドを描いた作品でしたがこちらは、小説ということもありやり直しの効かない一発勝負でバタフライエフェクトを描いていました。
多くの場合そういう物語では、バタフライエフェクトは人間を翻弄する存在、となるのですが傾物語では「誰もが運命に影響を与えられる力を持っている」という風に解釈していると思いました。
「きみが歴史に与えた影響は膨大だったけれど。しかしのその膨大な影響を、やはり同じように膨大な影響力を持つ僕達はどうにでもできたはずなんだ。」という忍野のセリフがまさにそれを象徴しているなと思いました。
 いずれの作品も予測不能な未来にどう向かっていくかを深く描いていてとても面白いです。そして、バタフライエフェクトって言葉はなんかそう言う事を描きたくなる魅力があるなあと改めて思いました。