長いお別れ(ロング・グッドバイ)を読みました(ネタバレあり)

 レイモンド・チャンドラー原作 清水俊二訳の小説「長いお別れ」を読みました。
ちなみに原題は「The Long Goodbye」で、清水俊二訳が「長いお別れ」、村上春樹訳が「ロング・グッドバイ」で、NHKの土曜ドラマも「ロング・グッドバイ」、さらにそのノベライズが「ロング・グッドバイ〔東京篇〕」なのだそうな。
 …ややこしいですが、今回読んだのは主に清水俊二訳の小説で、ぼく的には村上春樹訳よりも土曜ドラマよりもこちらが一番好きです。
 NHKの土曜ドラマ版が先日完結したのですが、原作でもっとも有名なセリフ「ギムレットには早すぎる」が無くなっており、あれを聞かないとどうにも落ち着かない気持になり改めて原作を読みましたが、やはり清水俊二訳が最高に面白いです。
 原作はアメリカ、ドラマは日本と舞台が異なるのですが、個人的にはこの差には違和感が無く素晴らしいと思いましたが、「ギムレットには早すぎる」をわざわざ無くしたために起こった変更点によってドラマ版はつまらないものになったと感じました。
 ネタバレになりますがこのセリフは、偽装死を行い整形手術により別人として生きていたテリー・レノックスが、フィリップ・マーロウに自分の正体を明かすときに語る言葉で、この作品をミステリーと考えると、最後の謎解きの瞬間の言葉と言え、ギムレットが好きなレノックスらしい降参の言葉だと思いました。
そしてこのセリフを読んだミステリー好きは恐らく、作品を改めて読み返すと思います。
…その、ロング・グッドバイのミステリーの要素がなくなったというのが、残念な理由の一つです。
 もう一つが、この言葉を発したとき、レノックスにはマーロウとの友情がやり直せる期待があるのですが、マーロウはそこから彼には理解出来ない理由で彼を拒絶して、そして「長いお別れ」を告げます。
 無償な男の友情を描いてきたこの作品の結末が絶交で、マーロウもレノックスが去った後に彼が引き返してこないか聞き耳を立てるシーンなどもありとても切ないもので、こういう男って馬鹿だなあみたいなところがこの作品の魅力だったのが、ドラマ版では失われていたのが残念でした。
 その他、原作では男臭いニュアンスにあふれており、たしかにNHKドラマという女性も視聴する番組には向かない部分も多いのですが、男だったり男臭いものに興味のある女性にはお勧めです。
 …などというと、ホモ好きが期待しそうですが┌(┌^o^)┐、「肉欲」や「快楽」という合理的な目的のある関係を否定した描写が多く、ぼく自信もこれは面白いテーマだなあと思いましたが、コレは別の機会に書きたいです。