同人サークル 07th Expansionによる同人ゲーム原作の夏海ケイによるマンガ「うみねこのなく頃に 散 Episode8」で描かれた真相を中心に Episode3を考えてみます。
Episode2よりさらに幅広い解釈の余地が増えています。
今回も、後に登場する赤と青の証言のフォローはなし、また複雑な解釈が必要な赤字に対しても解釈方法の説明は省きます。
漫画版の真相描写を参考に、うみねこのなく頃にの Episode3を考える(ネタバレ
Episode3の犯人と共犯者
犯人Aは、紗音=嘉音=ベアトリーチェ
共犯者Aは、南條
犯人Bは、絵羽
共犯者Bは、秀吉
犯行内容
下記が非常に細かくまとめられており、その後の戦人とベアトリーチェによる、赤と青の証言のフォローもあり、作品テーマにも深く触れられています。
ただ、それらを記載すると、慣れていない人は混乱しそうなので、この記事ではその後に登場する証言を無視してストレートな記述でまとめています。
第一の晩
紗音は熊沢、源次、郷田、金蔵を殺害した。
彼女は「紗音」と「嘉音」に変装でき、二つのマスターキーを所持していた。さらに南條の嘘の検死を利用し、以下の手順で犯行を遂行する。
- 各被害者を殺害後、それぞれの部屋を自分のマスターキーで施錠。
- 1階客間にて、紗音のマスターキーと2階客室の鍵を残し、自らは死んだふりをする(南條が偽の検死で支援)。
以後は隠し持った嘉音のマスターキーを使用。 - 生存者(蔵臼、夏妃、留弗夫、霧江、絵羽、秀吉、楼座、真里亞、戦人、譲治、朱志香)の隙をつき、客間を抜け礼拝堂へ移動。
- 礼拝堂で嘉音に変装し、嘉音のマスターキーと1階客室の鍵を残して再び死んだふりをする(南條が偽の検死で支援)。
- その後、生存者の目を盗んで礼拝堂を抜け、第九の晩まで身を隠す。
碑文の謎が解かれる
第一の晩の後、絵羽が碑文の謎を解く。
一歩遅れて楼座もまた謎を解き、二人は出会う。
第二の晩
絵羽が楼座と真里亞を殺害。
──碑文の謎を解いた者に与えられる黄金の取り分をめぐる争いの中で、突発的な事故が発端となった。
第四・五・六の晩
絵羽が留弗夫・霧江を殺害。
霧江は死に際に絵羽の共犯者・秀吉を道連れにする。
第七・八の晩
絵羽が蔵臼・夏妃を殺害。
遺体は東屋に遺棄された。
第九の晩
紗音が譲治と南條を殺害。
- 譲治は「紗音の死に顔を見たい」と望み、2階の窓からゲストハウスを出て屋敷1階客間へ向かう。
- 譲治が出た後の窓の施錠は南條が担当。
- 紗音は客間で譲治を殺害し、再び死んだふりで生存者(絵羽・戦人・朱志香)を欺く。
- その後、共犯者である南條をも殺害。
終幕
絵羽が戦人と紗音を殺害。
24時
島に仕掛けられた爆弾が爆発。
朱志香は死亡し、すべての証拠は消滅。
絵羽はただ一人、九羽鳥庵へ避難し難を逃れた。
Episode3は偽書作家「八城十八」による創作
八城十八とは、六軒島事件を生き延びた戦人と、彼を介護しながら共に暮らす八城幾子による共同筆名である。
脳に障害を負った戦人が、Episode7で垣間見た真相の一部をもとに「絵羽こそが犯人」と主張するために記したのが偽書Episode3である。
実際に起こったことはEpisode7で描かれる惨状であり、Episode3は戦人が見た範囲を手がかりに、想像とファンタジー的脚色を加えて構成されたものと考えられる。
ファンタジー要素を取り除けば、例えば次のような筋が想定できる。
-
第一の晩の後、生存者たちは改めて碑文の謎に集中。
-
結果として絵羽が謎を解くが、黄金の取り分をめぐり楼座と衝突し、殺人事件が発生。
-
以降、絵羽は口封じのため連続殺人を重ね、最後は爆弾で証拠を消し去り、九羽鳥庵へ避難する。
──このようにEpisode3は、真相の一部を知った戦人が「絵羽犯人説」を補強するために描いた虚構の物語である。
なお、マンガ版では絵羽がこの偽書Episode3を読み、戦人=十八の正体に気づき面会に訪れる場面がある。その際、戦人はEpisode7における絵羽視点の真相を知ったものと思われる。
真犯人A 紗音=嘉音=ベアトリーチェについては今回は考えません
乱暴ではあるが、今回は犯人A=紗音=嘉音=ベアトリーチェという複雑な犯人像については深入りしない。
紗音は「紗音と嘉音に変装できること」と「二つのマスターキーを持つこと」に限定して考える。
赤字テキストの曲解についても本来は必要となるが、ここでは追及しないこととする。
真犯人・紗音の視点を想像すると──
-
碑文の謎を出題し、見立て殺人を演じたのち、絵羽にすべてを譲る。
-
しかし直後に絵羽が実際の殺人を犯し、別の連続殺人が始まってしまう。
-
紗音は生存者から身を隠して様子をうかがうが、途中で譲治と鉢合わせし、彼を殺害。
-
さらに、自身の生存を知る南條を口封じのため殺害。
-
その後、絵羽によって紗音自身が殺害される。
──このような流れが想定できる。
黒戦人犯人の構築に挑戦
Episode3にはファンタジー描写が多く、考察を進めれば進めるほど自己流解釈の割合が大きくなってしまいます。
マンガ版『うみねこのなく頃に 散 Episode8』第37話では、原作ではファンタジーとして描かれていたシーンが、実際に戦人と紗音=ベアトリーチェの間で起こった出来事として表現されており、大きな感動を覚えました。
同様に、Episode3で描かれる戦人とベアトリーチェの共闘も、幻想的な演出に見えて、実際の戦人と紗音=ベアトリーチェに起こった何かを投影しているのでは──と想像するのは非常に楽しいものです。
もっとも、そうした想像を盛り込みすぎるとミステリーとしての考察に混乱を招くため、今回はここまでにとどめます。
その代わりとして、「全ての黒幕は戦人である」という仮説の一つ──黒戦人犯人説を用い、あえて大胆な構築を試みたいと思います。なお、この場合は該当エピソードにおける赤字はすべて無視します。
例えば、Episode1なら、
第一の晩の前に、戦人が碑文の謎を解く。
犯人である紗音との約束を思い出し、二人は結ばれる。
しかし戦人は、母・明日夢を蔑ろにした父や後妻の霧江への復讐などの理由から、見立て殺人を継続する。
紗音と共犯で第九の晩まで事件を進め、島を爆破した後は、十八と八城幾子としてひっそりと生き延びた──という可能性も考えられる。
Episode2なら、
第一の晩の前に戦人は碑文の謎を解き、インゴット(および換金済みの現金)、爆弾、九羽鳥庵の存在を把握する。
その上で紗音を拒絶し、第四・五・六の晩まで儀式を進めさせ、自死させる。
さらに、密室用の手紙を自ら仕込み、楼座に追い出された後はキャッシュカードを持って九羽鳥庵に避難し、爆発をやり過ごす。
その後、生存者を名乗り出ることなく逃走する過程で、八城幾子と出会う──といった流れも考えられる。
そして、Episode3なら、
第一の晩の後、絵羽が碑文の謎を解き、インゴットや爆弾を紗音から引き継ぐ。
その後、絵羽が殺人から連続殺人を開始する中、戦人は紗音との約束を思い出し、二人は結ばれる。
戦人と紗音が様子を見守る中、絵羽の犯行は第七・八の晩まで続く。
やがて譲治と紗音が鉢合わせし、戦人を選んだ紗音は譲治を殺害する。
さらに、爆弾や九羽鳥庵の存在を知り自力で逃走しようとする南條を、紗音が口封じのため殺害。
戦人と紗音は、譲治の復讐を目論む絵羽を襲うが、返り討ちに遭い死亡する。
結果、絵羽だけが生存するが、縁寿には真実を伏せる──という流れも考えられる。
Episode4までは頑張ろう
想像していたことですが、ゲーム盤内ではファンタジーシーンが増え、ミステリーの焦点は盤外での戦人と魔女による赤と青の解釈に移っています。そのため、ゲーム盤内で実際に起こったミステリー部分に絞った考察の重要性や意味はやや薄れてきました。
とはいえ、再発見も多く、出題篇であるEpisode4までは考察を頑張ろうと思いました。
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代表.中尾治人(ナカオハルヒト)