2022年(令和4年)に公開された、脚本・監督 新海誠のアニメ映画「すずめの戸締まり」が、金曜ロードショーで放映されたので、遅ればせながら観ました。
個人的には非常に面白く、一緒に観た子どもも大喜びしてくれたので大満足でした。
既に素晴らしい考察が沢山ある
「すずめの戸締まり」は非常に注目された作品で、劇場上映から時間も経っており非常に優れた考察は沢山あります。
中でもぼくが、好きなのは下記になります。
【総集編】解説考察『すずめの戸締まり』を100倍楽しむ為に 劇場で20回観た私が全ての謎を解説!! ダイジンの正体、芹澤の裏設定、閉じ師の意味、草太の目的、鈴芽と要石、ルミさんの謎 最後の戸締まり
ダイジンについて触れたいかな
今更だし、ぼくが観てからの時間も短いので、数ある感想の内の「ダイジン可哀想」について思ったことに絞って書きたいです。
ダイジンについての意見で、分かりやすいと感じたのが下記。
すずめの戸締りの猫がかわいそうな理由【ダイジンの決意が切ない】 – Miscellaneous Blog
…まず、先に明確にすると、ぼくは「ダイジン可哀想」と思わない派です。
理由は後ほど書きますが、そういう視点からどう見えるかを書いたとご留意くださいませ。
ダイジンはどう可哀想なのか
おおざっぱにまとめると、「すずめの戸締まり」内の事件は主人公鈴芽の無知ゆえの行動によって始まり、さらに彼女は要石である人語を話し子ども程度の知性を持つ猫の姿をした「ダイジン」が誤解するような対話をすることで問題を大きくし、挙げ句「ダイジン」を犠牲(生贄)にする選択で事件を解決し、本人は幸せになったというものです。
そして、このダイジンというキャラがとても可愛い容姿をしており無邪気で、何よりも小学3年生の山根あんさんが声優を素晴らしく演じられており、最高に可愛いく守りたくなる存在です。
映画『すずめの戸締まり』WEB CM-きまぐれダイジン編-【大ヒット上映中】
鈴芽が酷いと言えれば楽なのだけれど
上記のようなまとめ方ではダイジンが可哀想というよりも、鈴芽が酷いって印象ですが、不思議と鈴芽をはじめ全ての登場人物が皆、憎めない境遇や性格をしたキャラクターです。
それがまた、やり場のない思いになって「ダイジン可哀想」という感情に至ったのだろうと思います。
映画『すずめの戸締まり』30秒CM-今年の戸締まり編-【大ヒット上映中】
可哀想とならない理由はそれが怪異譚のお作法だから
上述の通りぼくは可哀想とならないのですが、その一番の理由が、「怪異への同情や共感をした者には災いが起こる」というのは、昔の怪異譚や怪談の教訓でありお作法であると考えるからです。
今の時代では語るのがはばかられる教訓ですが、おそらく大昔は距離を取るしかないような存在や感情が今よりも深刻で、それに対する教訓が古来から残る怪異譚のお作法の一つであると考えています。
作中でも、ダイジンが関わってはいけない存在であることが解るセリフがいくつもあり、特に草太に思いを寄せる鈴芽にとっては完全に相容れない存在です。
最大限に楽しめる見方かは怪しい
まあこれらは、あくまでぼくの解釈で、新海誠監督が意識されたかは解りません。
ぼくのような考え方から見ると、終盤は「ダイジン」をギリギリやり込めた…寝かしつけられたと見えてしまい感動も鈍るかも知れません。
また、最初から最後まで「ダイジン」を疑いの目で見続けるというのは、色々な楽しみを見落としているとも思います。
…などと、野暮ったく語ったけど、ここはあえて宮﨑駿監督がジジが喋れなくした理由を真似て「猫が嫌いだから」にしといた方が良いかなあ。
魔女の宅急便、最後にジジが喋らない理由 | Office NaKao
可哀想に思わない考え方を強調するために、この記事では省略していますが、「ダイジン」については様々な設定や描写があり、下記では非常に素晴らしく解説されています。
【全力考察】すずめの戸締まり/不明点や謎を明らかにする6つの考察(※ネタバレあり)
それはそうと今の時代に必要な教訓とも感じる
怪異譚云々はともかく、現代の特にSNSなどにおいては、距離を取らないと災いを起こす存在を知るのは重要だと思います。
「あらゆる存在と仲良く」というのは、語る側も気持良いですが、思わぬ危機を呼び込むことがあります。
もちろん、自分がどれほど好意を持っていても相手にとって害をなす存在になる可能性を意識することも大切です。
そして、それらは直接的に表現するのはあまりに衝撃が強いので、寓話の中で教訓として語るのはとても重要であると感じました。
同情すると憑かれる怪異譚
色々振り返ると、怪異への同情や共感で災いが起こるというのは、子どもの頃に親か近所の大人に強く教わったのだと思い出しました。
車に轢かれた動物の亡骸を見て、友人共々酷く同情した際に語られました。
ちなみに元ネタは下記のようです。
…その他、共感や同情や愛情が裏目に出る怪異譚を調べていますが、なかなか見つからないなあ。
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