うみねこのなく頃に散 マンガ版で全部の謎の答えが描かれてたんですね(ネタバレないはず)

 同人サークル 07th Expansionによる同人ゲーム原作の夏海ケイによるマンガ「うみねこのなく頃に 散 Episode8」を今更ながら読んだのですが、ずっと暈かされていた(猫箱に閉ざされていた)謎の答え全てが描かれていてビックリしました。
 ちなみにこれは「うみねこのなく頃にを描く最後のメディアになるだろうから」という理由で作者の意図に基づいたオフィシャルな回答なのだそうな。
 特に6巻は初めて犯人の本当の姿が絵で描かれ、原作にない踏み込んだシーンも多数あり、例えば犯人の体の欠陥も明確にわかるのでオススメです。
…ってこの表紙からして猫箱に馴染んだ古いファンには衝撃です。





 それまでほぼ真相と思っていた「最終考察 うみねこのなく頃に散」の解釈と異なる部分もあり、中にはぼくの推理の方がより近かった部分もあって久しぶりに興奮しました。

 伏せていた真相を犯人の立場から見ると、練りに練った企てに対してもっとも期待外れな結果で、犯人が本当に不憫に感じました。
 ひぐらしのなく頃にでは解答Episodeを描くことで取り返しの付かない行動をしてしまった罪悪感が描かれています(真犯人だけは除く)が、うみねこのなく頃にでは万能感すらもって練った計画をあっさり挫かれる、無力感と失望と浮かれていた自分に対する羞恥めいたものが描かれていたように思います。
魔女ベアトリーチェのようなキャラクターなら笑いや潔さなど見所にしてくれそうですが、真犯人のように内向的で気が弱く不器用な人物像で描かれるととても辛いです。
…舞台の上で女優のカツラが取れてしまって呆然としている姿を見せられている観客のような居心地の悪さすら感じました。

 またうみねこのなく頃には、(シュレーディンガーの猫がモデルの)猫箱という言葉で受け手の解釈と選択の自由さを、魔法という言葉で話し手の見せる(知らせる)べきでないものを間引くことの必要性が描かれており、何度も繰り返し物凄く真剣に論じている作品だったので、6巻の作画などでは「ああ見せちゃったかあ」みたいな気分にもなりました。
…いくら(オフィシャルではあるが)一つの可能性と言われても、筋の通った話と明確な絵で見せつけられると、魔法が解けるように推理と妄想が一つにまとまっていくのを感じてしまいました。
 とても寂しい瞬間ではありますが、同時に最も知りたかった部分であり、そして夏海ケイさん作画によって素晴らしく感動的なものになったと感じました。
何よりも犯人とクレルやベアトリーチェの間を埋めるものが、絵によって表現されており、これは長年原作を追っていた者には衝撃的であると同時に感慨深かったです。

 うみねこのなく頃にでは真相が伏せられていることで一部のファンの不興を買い、炎上めいた批判にも達していたので、これほど素晴らしい真相の物語であれば改めてもっと早い時点で明かしていても良かったのではないかと思いました。
 いずれにしろ、最後のうみねこのなく頃にとして超おすすめです。